第三十五話 メジャーとマイナー

多数か少数かという意味です。人は多数派に所属する事で安心できますが、事、遊びに関しての事を言いますと、多数派に居る事は面白くは無いんです。ある程度楽しさはあるかもしれませんが、その程度です。何故なら、多数派に居ては主体性が無くなるからです。少数派は主体性を持っ
て少数派に属します。もう違っています。自分がどんな風に乗ったら面白いかを考えています。

野球はメジャーに決まってる。マイナーが良いなんて変な話です。メジャー野球の方がレベルも高いし、メジャーの方が面白いです。でも、メジャーは少数のメジャーリーガーで構成されています。レベルが高い人達は少ない、ですからメジャーに入れる。つまり、人数で言えばマイナーです。マイナーだからこそ価値があるわけです。マイナーリーグの選手達がみんなメジャーと同じ技術レベルに成った時、そのレベルは普通になります。これまでと同じレベルの技術を見ているわけですが、もはや面白くは感じなくなります。マイナーだからこそ面白いんです。他のものも同じだろうと思います。例え、草野球だとしても、みんながみんな野球をやりだしたら、面白く無くなるだろうと思います。いくら流行っても、人数から言えばマイナーですから、価値があります。

ヨットでもそうです。マイナーの典型みたいなもんで、人口に対して、0.01%の数でしかありません。ですから価値があります。価値があるからこそ、乗らないでも所有できる。理性的、合理的に考えれば、所有している価値は無いわけですが、マイナーだからこそ続くと思います。もし、人口の4分の1でもヨットを所有するような大衆化が進むと、乗らない人は早々に手放してしまうでしょう。そこに価値はもはや無くなるからです。

ヨットはマイナーですから、例え乗らなくても価値があります。それが今の現状かと思います。今度はヨットの中身で見ていきますと、やはり多くの動かないヨットの中で、マイナーである乗る人には価値があります。日本は持つだけで価値がありますから、そこまでは気にしない方も多いかもしれません。でも、気が付いた方は、乗る事に価値を見出します。いまは、そういう時代ですので、その価値の為に、誰でもできるデイセーリングをお奨めしています。デイセーリングを自由自在に乗るというのはマイナーですから、価値があります。この価値というのは、ただ、少ないという価値だけでは無く、人は少ない物を面白がるという性質があると思います。ですから面白いんです。それで、たくさんの人達がデイセーリングを自由自在に乗るようになりますと、その中から、もっと何か価値ある事をしたいと思う人が出てくる。それが日本一周になったり、南太平洋に出たりという具合です。当たり前のデイセーリングは面白いものではありますが、大衆化されたら、普通になって、そこにあまりエキサイティングさを感じなくなる。みんなが世界一周するのが当たり前の時代になったら、世界二周、三週、何回でもとなっていくでしょう。でも、そんな事には至らない。ですから、いつまでも価値がある。

今の日本はヨットを所有するだけで価値があります。でも、それはヨットハーバー以外での場所においてです。ヨットハーバーに来ますと、その価値は無くなります。マリーナに来ますと、殆どの方々がオーナーですから、価値は無くなります。強いて言うならば、自分のヨットがでかいとか、豪華とか、そういう所にしか価値は見出せなくなる。所有している中で考えますと、メジャーは乗っていないヨットです。ですから、さらに価値を高めるには、面白くするにはまずは乗る事です。乗らないヨットを見ながら、自分は乗る。ここに価値が出てきます。ただ、乗るだけでも価値があります。ですから、デイセーリングをしましょうという話です。今、これはとっても価値が高いです。それで、多くのオーナーがデイセーリングをするようになると、今度は、ただ乗るだけでは価値は薄れますから、もっと自由自在にしましょうとなり、それをシングルでしましょうとなっていきます。そこまで行きますと、今度は遠くに行きましょうです。みんなが遠くに行くようになると、またデイセーリングの方に価値が出てくる。

多くの釣人がおられます。最初は釣りをしているだけで面白かった。でも、それが大衆化されますと、より大きな魚を求めるし、ある特定の魚を求めたり、大物をより細い糸で釣り上げようという試みが出たりします。これと全く変わらない。価値も面白さも一緒に変遷していきます。

海外では、キャビンヨットが盛んです。住んでいる人達も多いし、週末には泊まるという人達も多いですから、そこに価値は無い。外洋に価値があるし、シングルのデイセーリングに価値がある。日本はヨットに泊まる人は少ないですから、週末に泊まるだけでも価値があります。

価値があるとか言ってきましたが、面白さと価値はどう関係するのか。価値があるというだけで、人を動かす動機になります。ヨットを持ってるだけで価値を見出しているのと同じです。価値を見出すというのは、何らかの面白さを見出しているのと同じだと思います。人が面白いと感じるのは、価値と無関係では無いと思います。例えば、今日のセーリングで非常に面白さを感じたとしましょう。帰ってきて、それを人に話したら、相手はもっとすごい経験をしていると聞いたとしましょう。すると、その途端に、たった今面白かった事の価値が薄れて、次はもっと面白いものを求めてしまうのではないでしょうか。つまり、価値があるとは面白い事なのです。本当は価値と面白さは無関係かもしれません。大衆が同じ事してようが、しまいが同じ価値を見出す事もできるかもしれません。でも、人は大抵は、価値と面白さを無意識に繋いでいると思います。どういうわけか、大衆化された物にエキサイティングな感覚を感じなくなってしまうようです。

幸いと言いますか、日本ではヨットはマイナーです。その中でも乗っている人達もマイナーです。ですから、価値を見出すのは簡単な事です。所有だけで価値がある。でも、一歩進めて、乗って価値を高めましょう。デイセーリングは恰好の価値を高める手段です。そしてさらにそれをシングルで自由自在にするならば、到底、他の人達は当分ついて来れない。相当価値は高いです。でも、これらは、その気になれば誰でも、簡単でできる事なのです。初心者がベテランを遥かに追い越して、価値を高める何てことは簡単な事です。それで、最後に、面白くしたいなら、楽しみたいなら、マイナーになる事です。マイナーになる時不安です。勇気も要ります。でも、マイナーになった人が本当に楽しめるのです。デイセーリングはすぐに出来ます。それが価値のある面白さをもたらしてくれます。さらに、それをシングルで自由自在にセーリングをするとなると、殆どの方々は到底そこまでには至りませんから、一生、価値の高いセーリングを楽しめるでしょう。

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