第三十七話 スポーツ

スポーツは皆さん好きですね。野球される方、テニス愛好家も多いです。その他ジムに通ったり、水泳したりジョギングしたり、皆さん健康の為にも、スポーツをよくされます。若い人達ばかりではありません。御年配の方々も実に多いです。

それがヨットになりますと、どうもそういう気配が薄れてきます。スポーツというとレースという概念が出来上がっているせいでしょうか、どうものんびり派が多いように思います。もちろん、そういう時もありますが、たまには、他のスポーツをやるような気持ちで、ヨットをスポーツとして捉えて、健康の為にも、良い汗をかいてみようかと思われても結構ではないかと思います。

ゆったり走っていたコースを、今度はより早く走る。そういう気持ちを持って、セールをただ展開しておくだけでは無く、どうすれば速く走れるかを考えて、セールを出したり、引いたり、ひねったり、いろんな操作をしてみてはいかがでしょうか?しかも、できるだけ頻繁にやるわけです。タックの回数も増やす。舵を持ちながら、できるだけそういう操作をして、動きを体感していく。できるだけスムースに無駄なく、そうしますとだんだん動きは滑らかになっていくでしょう。無駄な動きも少なくなる。動きが美しくなる。かっこよくなります。そして良い汗もかける。激しくもできるし、軽くもできる。体が動く範囲は狭いものですが、頭も使う事にもなります。それも自分のペースでできます。

ヨットは単なる乗り物としての使い方もできますが、スポーツにもする事ができますので、是非、クルージング派の方々にもスポーツを楽しんで頂きたいと思います。ゆったり乗るセーリングとスポーツするセーリングと、時と場合によって使い分けてはどうでしょうか。セールがピタッと決まれば、それはそれは気分の良いセーリングができます。これはたまたま同じ走りができたとしても、その気が無い時と、自分で意識してそうした時とでは、感じ方が違ってきます。是非、自分で意識して、頭使って、走ってみてください。頭脳と体のスポーツです。こういう場合なら、たまたまピタッと合った場合でも、気分はグッと良いはずです。楽しさが面白さに変わります。

その為には、できるだけオートパイロットは使わない方が良い。舵を握って感じる感触も味わいたいです。重くなったり、軽くなったり、シートを少し出しただけでスーッと軽くなる感じ、ブローが入って
ヒールがきつくなり、舵が重くなる感じ、そういうひとつひとつの変化を体で感じる。操作のタイミングが解ってきて、その量も解ってくる。動きが解ってくる。そういうひとつひとつが総合して、面白いに変わっていきます。

そうやっていきますと、どうしてもダウンウィンドを何とかしたくなります。是非、ダウンウィンドの風も楽しめるようにして下さい。スポーツするうえで、セーリングを楽しむうえで必要な事です。そして、ここまで来たなら、ヨットはもっともっと面白いものになります。その合間にピクニックセーリングをします。すると、スポーツセーリングに慣れていればいる程、ピクニックセーリングが楽で、しかも、
ちょっと面白く演出してゲストを楽しませてあげたりできると思います。いつもピクニックセーリングしかしない方は急にスポーツとして楽しむには至らないでしょう。でも、スポーツしておけば、何でも余裕で来い、てなもんです。シングルでも、ダブルでも、大勢でも、今日はスポーツするぞ、と気合を入れてください。もちろん、自分のペースで、無理しないように、意識をセーリングに集めるだけです。すると、それに応じて体が動きます。思ったとおりに体が動かなかったら、それは慣れがまだ足りないだけです。頭の方が先行してます。体は徐々についてきます。

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