第四十六話 チークデッキ

従来のチークデッキはチークを4〜5cmぐらいの幅にカットして、それを1本づつデッキにタッピングを使って張っていました。その後、接着剤がどんどん良くなり、タッピングを使わなくても張る事ができるようになりました。さらに、今では、デッキのパターンと同じ薄い板に、工場でチークを貼り付け、そのパネル状になった板をデッキにはる工法に変わってきました。この事で、大幅に手間を省く事ができるようになりました。昔のチークデッキに比べ、今のチークデッキはオプション価格としても半値ぐらいではないかと思います。

ただ、同じチークデッキと言っても、非常薄いチークもあれば、厚いチークを使っている場合もあります。当然ながら、長く使ってきた場合、サンディングされて薄くなる事を考えれば、薄いチークはいかがなもんでしょうか。

チークデッキは好みにもよりますが、非常に美しいものです。ただ、皆さん手入れが大変なので、敬遠される場合も多いようです。チーク表面には硬い繊維部分と柔らかい部分があり、掃除をして柔らかい部分を削ってしまうと、そこに今度はゴミが溜まり易くなる。そうすると、すぐに汚れてしまうので、また掃除する。それでもっとひどくなる。手入れのコツはこの柔らかい部分をできるだけ削らない事です。いろんな方法があると思いますが、台所用スポンジの裏に緑の部分がありますが、あれで、繊維に対してできるだけ並行にこすらない方が良いようです。そういう風に気をつけながら
手入れをしていくと、だんだん汚れにくくなっていきます。また、チークにセトルマリンやアダックススーパーなどの保護材を塗るのも良い手ではないかと思います。

チーク表面をできるだけ汚れないようにするには、表面をできるだけ荒さない、凸凹を無くす事です。それで、ある方が確か600番でサンディングしたという話を聞いた事があります。ぜんぜん汚れないとの事でしたが、今度非常に滑るようになる。これは危ないです。

最近のヨットでは外装に木材を使う事が少なくなりました。メインテナンスの軽減です。しかしながら、少しでもチークをあしらうと、何故かぐっと品が良くなる。ちょっとぐらいのチークでしたら、時々、自分で手入れしても良いんじゃないかと思いますね。全く無いのも味気ないような気がします。
ただ、最近はチーク材の不足が言われ、なかなか良いのが少なくなってきているようです。

最も品質の良いチーク材は家具になると言われます。しっかりと目の詰まったチーク材はなかなか手に入らない貴重品です。でも、腐らないし、ヨットの外装にはチークがお決まりですが、せめて、デッキ周辺のトウレールやハンドレールぐらいチークにすると、ぐっと良い感じになりますね。

チーク不足ですから、内装は最近はチークを使いません。或いはオプションです。昔はチーク内装が標準でした。今ではマホガニーや桜などです。内装ですからチークにこだわる必要も無い。桜なんかも美しい素材です。人間は何故か、木が好きなんですね。何か落ち着くという感じです。やはり自然な物が、癒しみたいな感じがするんでしょうか。

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