第四十九話 マインド ゲーム

世間はTVゲームがあっと間に完売になり、争奪戦や犯罪まで起こる。事件は後を絶たないし、殺人も珍しくない。政府の汚職や無駄使い。自然環境も悪化、北朝鮮の問題もある。世界は問題だらけ。そういう風に受け取る事もできれば、今、これらの膿が出て、それを解決する時期、よって、これからはもっと良くなる。そう考える事もできます。

要は事実は事実だけれども、それをどう感じるかによって、世界は解釈されます。つまり、世界は自分次第かもしれません。私の解釈する世界があって、それぞれの世界がある。事実は同じですが、感じ方は異なります。結局は、どう感じるかのゲームをやってるようなもので、その感じ方によっては嬉しかったり、悲しかったり、どうにでも解釈できます。世界は自分と自分を通して解釈した世界がある。それしか無いとも言えます。

ヨットの世界、それをどう解釈するか、それによって、自分の関わりが決まります。楽しむのも、そうでないのも自分次第なのです。日本人は周りの目を気にしますから、それが我々の世界です。気にしないゲームをする事もできます。

大きなヨットが小さいヨットより良いという事実はありません。そう思うかどうかです。それはどこを基準にするかによって違ってきます。速いヨットが遅いヨットより良いという事実はありませんし、どれがどうという事実は全く無い。ただ、自分がどう思うかが全てです。そういう思い込みを取っ払うと自由に遊べるのかもしれませんが、それがなかなか取り外す事ができません。でも、取り外す必要は無くて、自分が何を基準に考え、感じているかを知る事、意識する事が必要かもしれません。
それが本当に自分が求めている物か?意識すると、そう考える余裕ができます。

前にも言いましたが、ヨットは何の役にも立ちません。本当は自由に好きなヨットを選んで、好きなように乗れば、それで良いわけです。それが最も楽しむ方法だろうと思います。しかし、そこに周りの目を気にする自分が居て、世間体を考えて、いろんな事を考える自分が居る。それが自由を奪う。ヨットをどんな風に使えば、本当に楽しいか?世間はともかく、自分はどうか?

私は長年ヨットを見てきて、最も面白い部分はセーリングにあると思っています。エンジンで走るよりセーリング、キャビンで過ごすよりセーリング、旅をするよりセーリングの方が面白いと思っています。かと言って、セーリングの為に全てを犠牲にしようとは思いません。セーリング重視とは言っても、楽に操作ができる、ひとりでできる、体力とのバランスも考える、いかに楽に操作して、最大限の面白味を引き出すかがテーマです。その為にどんなヨットが良いか、どんな艤装が良いか、それをどんな風に操作して楽しむか。

いかにしてセーリングを楽しむか?いかにしてキャビンを楽しむか?いかにして旅を楽しむか?いろんなテーマがあって、それぞれが本当に自分の楽しみ方、スタイルを求めれば、それで良いんだと思います。それはゲームであって、実際に乗り始めたら、どう感じるかもゲームです。ですから、マインドゲームそのものを楽しむようにできれば、面白くなります。快適もスリルも恐怖さえ楽しむ事ができるかもしれません。いろんな感情を楽しむ。それこそセーリングをしていますと、より多くの感情が沸いてくる。キャビンや旅では味わえない感情がたくさん出てくる。セーリングにはそういう魅力があります。快適だけを楽しもうとすると、たいした事はできなくなります。快適は楽しいですが、いろんなマインドゲームを楽しむのは面白い次元に引き上げられる。セーリングとははそういうもんだろうと思います。

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