第六十四話 セルフタッキングジブの欠点
| セルフタッキングジブは良い艤装だと思い、推奨していますが、欠点もあります。シートを引く位置がかなり前ですので、上りは良いにしても、風が後ろに回るに従って、セールを横に出したくなるわけですが、引くポイントが前なので、横にきれいに広がらない。それは欠点です。それでジェネカーを使えば良いのですが、シングルでそれもできないという場合、ちょっと面倒かもしれませんが、通常のジェノアトラックを通すシートを左右に取れば、広げたい時は、セルフタッキングで使ったシートを完全に緩めてしまって、今度は通常のジェノアトラックのブロックを通してリードします。するともう少し広げる事ができる。 まだ。試した事は無いのですが、ダウンウィンドになったら、いっそのこと、スピンやジェネカーのリードブロックにシートを通してみる。最後部から引きますので、風の強さによってはきれいに開けるのではと思います。もちろん、これをすると、セルフタッキング用のシートが１本、ジェノアトラック用で２本、さらに最後部のブロックに２本と合計５本のシートになる。５本も繋いでいると、面倒だし、それにシートの重みで微風、軽風では重過ぎてうまくいかない事も考えられますが、まあ、遊びですから、こんな馬鹿げた事を試しても面白いかもしれません。シートを３本にして、最後部のスピン用シートブロックへは、ジェノアトラックに通したシートを差し替えるという方法なら、まだましだと思います。その点、ジブブームがあれば、全て解決ですが。 もうひとつの欠点はセールエリアが小さいという事ですが、トップリグで、元々大きなジェノアで走るセールプランなら、それをセルフタッキングにしますと、かなりセールエリアが減じられます。強風用という事になりますね。でも、フラクショナルリグで、I ポイントが下に下がる程、そのセールプランはメインセールで走る事になりますから、それにJよりE（ブームの長さ）の方が長い。そういう場合はオリジナルのセールエリアからもそんなには減じられない。それにアスペクト比が高いセールにすれば、その範囲内で目一杯セールエリアを取る事になりますので、ファーリングジェノアを１００％ぐらいにまで巻いた状態よりもエリアは広い事になります。 まあ、これも今あるジェノアを１００％ぐらいにまで巻いて試してみてはどうでしょう。どんなセーリングになりますか。シングルの場合でしたら、やっぱり小さなジブと大きなメインが良いような気がします。 セルフタッキングでは無いにしろ、小さなジブの場合、タッキング時にジブをかえすのは簡単ですから、大きなジェノアを使うよりは良いかもしれません。大きなジェノアを使うと、ブローなどの時に、メインをリリースしてもあまり影響が無い時があり、どうしてもジェノアを扱う事になります。ジェノアはウィンチに巻かれていますので、片手で解いてリリースしてまた巻く、これが結構強風時には手間がかかる。メインのコクピットにあるタイプならワンタッチでできます。ただし、強風時はカムクリートにシートが強くかんでいますので、片手でポンとは行かないかもしれません。ならば、足で蹴飛ばすか、テークルを増やすかを考えます。 とにかく、シングルで、片手に舵持って、もう片手でいろんな作業をしますので、どれもがポンとできるように偽装しておきますと、セーリングはもっと楽になり、よりスムースなセーリングができると思います。そうやって工夫していくのも遊びのひとつです。これがダブルになると様相は一変します。 シングルとダブルでは２倍以上の違いがあると思います。ですから、シングル用のヨットというのは、手が届くというだけでは無い。それ以上の利点があります。 |