第六十七話 中古艇事情

お気づきの事と思いますが、中古艇市場には20年を超えて、30年物も珍しくなくなってきました。かつて、そういう古いヨットが無かった時代、せいぜい寿命は20年ぐらいかと思い、そういうヨットは安かった。それで、中古の価格は20年を基準に、どんなに整備されていようが、船齢のみが価格に反映していました。こんな事は日本だけです。

ヨットは整備次第と言いながら、価格は船齢にのみ反映されていたのです。ところが、昨今のヨットを見てみますと、30年物、それ以上のヨットも出てきました。全く手入れがなされていないヨットは価格をつけるのは論外です。しかし、30年経っても、きれいに整備されているのもあります。これが同じ価格ではオーナーに対して失礼であるばかりか、市場をも壊してしまいます。

新しいうちは、手入れが行き届いていなくても、そう大きくは違わない。でも、古くなればなるほど、その差は歴然です。30年を越えたヨット、海外には珍しくありません。それどころか、もっと古いのもたくさんあります。日本がようやく30年を越えた今、整備という言葉の重みが感じられるようになりました。

整備されていないヨットを安く買ったとしても、それからかかる費用はいかほどか?整備されているヨットはそれなりの価値を持つべきです。そうしますと、オーナーもほったらかしにはできなくなります。すると全体のレベルも上がる。事実、海外の中古ヨットは非常に高価です。でも、きちんと整備されています。

30年と言わず、10年でも、20年でも、整備されているヨットはそれなりの価値を持つべきでしょう。できれば、10年区切りぐらいで、全体的な整備をするべきかと思います。それはこれからの航海にも安心です。売る時の価値も高くなる。買う方も安心できますね。

これから先、もっと古いヨットになっていきます。これからますます、メインテナンスの重要性が重んじられるようになると思います。それにつれて、レストアも出てくるでしょう。そういう価値を見出す事も、これからは必要になるのではないかと思います。

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