第七十六話　デイセーリングを考える

旅は目的地という目的があります。それでデイセーリングでは何を目標としてセーリングしたら良いか？ただ、漫然とセーリングしていただけでは、そのうち飽きが来るのではと思います。それで、考えますにデイセーリングの目的は旅では無く、キャビンでも無いので、セーリングそのものを楽しむ事が主になると思います。それなら、デイセーリングの目標は、腕の上達、自由自在セーリング、それもシングルで可能にする。そういうのが良いのではと思います。レーサー以外はやってこなかった事ですが、勝つ為では無く、面白くする為にセーリングを学ぶ。というのはいかがでしょうか？
面倒くさい？　難しい事はしたく無い？　そう思われるかもしれません。でも、今まで知らなかった事を知る。出来なかった事ができる。そういうのはとっても面白いと思うのですが。

クルージング艇でありながら、レーサーのように、細かいトリミングをする。そこまでやるか？それをするには、豊富な知識も必要になりますので、学ぶ事はたくさんあります。その知識を今度は実践に使う。すぐにうまく行く事もあればいかない事もある。その疑問をまた学ぶ。そうやって、何年も続けていけば、相当な腕前になるでしょう。もちろん、その為にレーサーのようにクルーを集めて、ハイクアウトさせてなんて事はしません。それどころか、シングルでそれを、できるだけやる。無理は必要ありませんが、自分が面白いと感じる範囲内でも良いと思います。とにかく、学んで、実践して、腕を上げて、スイスイ自由自在セーリングを目指す。そんなクルージング艇はありません。でも、そうできたら実にカッコイイんじゃないかと思います。

のんびり過ごす時もあって良いと思いますが、通常はこんな深いセーリングをしている。それに詳しいし、腕もある。そんなオーナーを目指してみませんか？

旅が好きでロングを楽しむ人達、レースを愛し、練習に励む人達、その中にセーリングそのものを愛する人達が居ても良いと思います。簡単に言えば、ただ走るだけかもしれませんが、その行為はいろんな体験を与えてくれると思います。

それで、まずは上りからアビームあたりまでのセーリングのセールについて考え、知識を得、実践して遊んでください。何度も、何度も、但し、必死はいけません。あくまで遊びです。楽しむのが目的です。いろいろ作業をして、その変化を楽しむ事ができなければ意味がありません。

それに多少慣れてきたら、今度はダウンウィンドのセーリングをやります。ジェノアを使うのなら、ウィスカーポールが必要と思うかもしれませんが、もちろん、これもOKですが、ジャイブが多いデイセーリングでは、いちいちその度にバウに行かなければなりませんので、面倒かなと思います。それで、できればジェネカーを揃えていただきたいと思います。もし、今スピンならあるという場合でしたら、リカットしてジェネカー風に加工したものでも良いかなと思います。これを上げるか、上げないかではダウンウィンドのセーリングがおおいに異なってきます。

シングルでのジェネカー帆走、簡単じゃないですね。ヨットに慣れておかないといけませんね。そこでお奨めはジェネカーのファーリングシステムです。既存のジェネカーをそのまま使えます。マリーナを出る前にセットして出航、上りはファーリングジブを展開して、ダウンウィンドはジブを巻いて、
ジェネカーを展開する。帰りはジェネカーを巻いて、マリーナに戻ってジェネカーを下ろす。ですから洋上での作業は簡単になります。

実際、ジェネカーでアビームあたりか後ろの１５０～１６０度ぐらいまで走る事ができます。逆に、ジェノアはこの角度では走れない。ですから、お互いの補完が成され、これで全方位走れる事になります。最初はメインとジェネカーで難しければ、ジェネカーだけ展開して、やって見ても良いとおもいます。ある程度慣れたら、メインとのコンビネーションも考慮していきます。

ジャイブはこのままでもできますが、ファーラーですから、一旦巻き取って、メインをかわしてジャイブして、そしてまた展開しても良い。巻き取る時の注意は、フォアステーにセールがからなまいようにする事です。ですから、必ず後ろからの風の時に巻く。シートは完全にリリース。そしたら、コクピットにリードしたエンドレスのドラムロープを引けば、簡単に巻き取る事ができます。

ここまで全部、そこそこ帆走に慣れたら、後はひとつひとつを少しづつ高度にしていく。高度と言いますか、よりうまくしていく。セールの細かいトリミング、そして何故それが良いのかも、ちゃんと理由を得ておくと、面白さも深くなると思います。

まあ、いろいろ遊んで、深く知って、スイスイ自由自在に操船して、カッコ良く走ろうと、こういう算段です。デイセーリングはカッコ良くが良いと思います。良く潮っ気たっぷりとか言いますが、そんな事はどうでも良いと思ってます。美しく、カッコ良く、深い知識、上手なさばき、そんなオーナーにあこがれます。良い風が吹いて、上りギリギリで走る時、ちょっとでも油断すると裏風が入ります。そんな絶妙なバランスの中で快走する時、緊張感、心地良い緊張感があります。それって、結構ワクワクしませんか？ワイワイ、ガヤガヤという楽しさとは全く違う面白さがあると思いませんか？たいして体力が要るわけでも無いし、結構エキサイティングだし、そんな面白いセーリングをもっと意識的に演出してはどうかと思います。それがヨットならではの持ち味かと思います。それをするには、短時間のデイセーリングが最も適していると思います。

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