第九十八話 セーリングに連れてって

昔、スキーに連れてってだったでしょうか、そんな映画がありました。見ていませんけど。じゃあ、今度はセーリングに連れてってなんて映画でも造ってもらいたいもんです。とにかく、多くの人達にヨットに目を向けていただきたい。

ヨットを手足の如く自由自在に操船できる主役と美人の彼女が主演で、男はこよなくヨットと海を愛する。そこに美人の女性がこの男に魅かれて行くわけですね。それにヨットの何が面白いのかも知りたくなる。そして、ピカピカにこの男によって磨かれた美しいヨットが登場するわけです。そしてドラマが始る。三流ですね、こんなのは。

或いは、ヨットに興味を持った男が、老練なヨットマンに手ほどきを受けるとか。女性がヨットウーマンになって、レースで勝つとか、何でも良いんですが。ただ、ヨット解らない人には面白く無いかもしれませんね?セーリングはフィーリングですから、映画は大きな画像の変化が無いとなかなか難しいかもしれません。特にヨットを知らない人には。

数ヶ月前、テレビコマーシャルにヨットを使いたいと言う話がありました。それでアレリオンが候補にあがったのですが、もっとクラシックなヨットが良いという事で、結局は駄目でしたが、出来上がったコマーシャルを見ますと、ほんの瞬間的にヨットが出ていましたが、あれじゃ何だか良く解らない。
ヨットの全体写真も無かった。

皆さん、ヨットを今一使いあぐねておられるようです。そこで、バシッとこういう遊び方をすると面白いですよという事を提案したいわけです。そこで、そういう映画なんかが出るととっても効果的なんでしょうが、なかなかヨットのドラマは難しいようです。

二人の男がヨットでマッチレースをする。これにからめてドラマが展開するとか、どうでしょうね。その中にセーリングの面白さを織り込めないか?

ヨットと言うと、すぐに大冒険にしたり、アメリカズカップなんかに注目するもんですから、身近では無くなる。もっと地に足をつけたような、身近に感じるようなドラマじゃないといけません。ヨットの面白さと人間模様なんかがテーマになるとかです。誰か面白い脚本書いて、映画にしてくれませんかね。天才的ヨットマンVS.練習に練習重ね、努力してきたヨットマンとか?パターンとしてはありきたりですね。

毎日、毎日ヨットでセーリングに出る老人とか?彼の人生には何があるのか?なんてのはどうでしょう。色気ないですね。老人と子供なんかいいかもしれませんね。子供が老人から海の事やヨットの事、セーリングの事、人生なんかを学んでいくわけです。そして成長して、ドラマがあって、そして彼もまた老人になった時に海に戻って、毎日セーリングに出る。その間に彼女が言いますね、
”私をセーリングに連れてって”と。変ですか。やっぱり。

ヨットに夢とかありますが、もっと身近にドラマを造らないといけません。たくさんのドラマを。ドラマは自分で作るものですが、その前提として、たたき台のようなドラマを知る必要があるのかもしれません。それも身近にです。日常の中にちょっとしたドラマを創る。セーリングという行為を通じて、その中で、緊張も緩和も、退屈も感動も、恐怖も安堵も、全部織り込む。ちょっとしたものでも良い。それが人生を潤すと思いますね。感動するには、退屈も必要です。退屈ばかりじゃ困りますが。
ちょいと2時間ばかり走ってきた中にも、全てがあります。自分なりのドラマを創りましょう。

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