第二十二話 計器

クルージング艇の計器と言えば、筆頭はGPS。このお陰でナビゲーションは簡単になりました。有り難い事です。GPSは位置を教えてくれるばかりか、対地のスピード、そして進行方角も知る事ができます。これがコンパス方向とは違う。コンパスは実際の進行方向では無く、ヨット自体が向いている方向を読み取る事になりますが、GPSの針路はヨットがどっちを向いていようが、実際にヨットが動いている方向を指します。

例えば、海には潮の流れがありますから、ヨットは真北を向いていても、潮の流れで実際は少し斜めに動いている事が良くあります。つまりコンパスの針路とGPSの針路が違うなら、その分、潮で流されているという事が解る。ロングに行く時は、GPSの針路が頼りになります。スピードも同じで、ヨットにスピード計があるなら、そのスピードとGPSのスピードは異なる事があります。スピード計は対水、GPSは対地。これも潮の流れによっては変化します。スピード計は船底に設置されたセンサーによりますから潮の流れに影響してきます。GPSは実際に動くスピードを表示します。

最近のGPSには魚探もついている事が多い。これで魚釣りをしない人でも、深さを知る事ができます。深いキールを持つヨットは、知らない港に入る時は有効ですね。

その他、ヨットには風向風速計がある。まさしく、風の方向とそのスピードを表示しますが、それはスピード計と連動させて、真風向と風速、又見かけの風向と風速を知る事ができます。セーリングにはとっても役に立ちます。風に対して何度まできりあがる事ができるか、どのくらいの風速で艇速はどのぐらい出るか、遊びとしてはとっても面白い。それに、風向を見る時、いちいちマストトップのウィンデックスを見ないで良い。高い位置ですから首が痛くなる。

計器を上手に使って、遊びの演出をする。スピード競技では無いにしろ、風速何ノットの時、どのくらいスピードが出るかは、ひとつの目安になります。それにどのくらいの風速でリーフしていくか、
風向に対しては、どのような角度で上れるか、真と見かけの風の違いはどうか?

それにヒールアングルなんかも、客観的に見れると良いですね。乗ってる本人はすごいヒールしているように見えて、感じるものですが、外から見てると意外にそうでも無い。実際、何度ヒールしているのかを数値で知るのも良いと思います。それで、適切なヒールアングルを見出す事ができる。
その適切なヒールアングルになるように、セールを調整するわけです。

そして、いつも乗ってると、何かの変化が起きた時はすぐに感じる事ができる。いつもより遅いわけは何か?とかです。これが意外に、ちょっとした事でもすぐに感じられるようになってきます。キールについたわずかな汚れとか、ちょっとした振動とか、自分でも驚くぐらいです。それには、いつも乗っていて、グッドコンディションに慣れておく必要があります。

こういう具合になってきますと、ここから出発して、いろんな操作をやって、わずかな違いを感じて、いろいろ遊ぶ事ができる。それらを客観的に数値で確認して、それが身に付いてくる。いくら計器があっても、その計器を使って、いろいろ遊ばないと、ただ眺めているだけではこうはなりません。
動かす事から始め、いかに動かすかになっていきます。それが面白さになっていくと思います。
遊びは自分で演出しなければなりません。是非、計器を使って、いろいろ遊んでください。

次へ          目次へ