第二十四話 使い方の違い

ヨットを始めた頃はヨットの操船練習を誰でもやります。マリーナからの出し入れとセーリングの基本的な事、そういう事に慣れてきた頃、そこから先が使い方が分かれていく事になります。

誰でも考える事は、仲間と家族のクルージング、ごちそうを食べて、おしゃべりを楽しみます。それが何回かやると、次は近くの島などに上陸して、そこで飯でも食おうか、なんて話が出てくる。そしてそれも過ぎていくと、もう少し遠出を計画します。泊まりでのクルージングになります。セーリングに慣れた方は、たまにローカルのレースに出たりする事もある。別に勝ちたいとは思わないが、参加して、お祭り的楽しみ方でしょう。

多くの方々がこういうパターンに近いのではないかと思います。別な使い方としては、もっと遠くを目指す事になります。九州一周だったり、日本一周だったりします。或いは、セーリングに熱が入り、幸いにもクルーに恵まれた方々は本格的なレースに入り込んでいかれる。レースはクルージングとはまた違い、本人の技量やヨットの種類にもよりますが、それにも増してクルーに恵まれなければレースには参加できません。

こういういくつかのパターンに加えて、レースをしないスポーツ的セーリングを長いこと提唱してきました。クルージングヨットでも構わない。そのヨットで、できるセーリングのいろいろなフィーリングを、そのまま味わおうという事です。どこかに行く必要も無く、誰かよりも先に走ろうという事も無く、ただ、今ある風に対して、どういうセールトリミングをしていったら、効率良く走れるか?セール形状、風に対するアングル、舵捌き、タックやジャイブを決して素早くでは無いにしろスムースに行える。自由自在のセーリング。そしてそれをフィーリングとして味わうというやり方です。これはクルージングの方に、宴会や旅をされる以外の時に、クルーが居ない時に、家族が来ない時に、是非、そういう事を意識してセーリングそのものを味わって頂きたい頂きたいと思っています。

クルージング艇であろうと、セールがついてますから、ヨットはセールがあってはじめてヨットと言えますから、そのセーリングが速かろうが、遅かろうが、セールを使う事で味わうフィーリングというのはそのヨット独自のフィーリングで、必ずしもレースで勝つ為とか旅でどこかに行く為とかで無くても、その走りのフィーリングを味わう事があっても良いと思います。言うならば、クルージングスポーツです。この時、意識はより良いセーリングにあった方が良い。セールカーブを見たり、アングルを見たり、ですからそういう知識を学ぶ事も必要になります。セーリングはできる。でも、そのクオリティーを向上させて、より良いフィーリングを得ていこうというセーリングです。

もちろん、他の時、仲間が来た時、家族が来た時はそれなりのやり方で遊びます。そういう機会は年間にそう多くは無い。そこで、残った大半の時間には、スポーツされたらいかがでしょうか?これはきっと楽しくなるだけでは無く、面白くなります。何しろ、追求している物がある。そういう目的を持ちますと、面白くなると思います。そして、これが面白くなって、どんどん進んでいきますと、デイセーラーがほしくなる。というのは私の望みですが。

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