第四十五話 デイセーラー

今春はアレリオン28が2艇進水します。そのうち1艇は地元福岡ですから、オーナーとご一緒させて頂いて、何らかのリポートが書けるのではないかと思っています。また、昨年12月に舵社の取材を受けましたが、その記事が3月号に掲載されますので、タイミングとしてもピッタリ、何か良い予感がしますね。

デイセーラーを扱うようになって、約10年、当初は全く見向きもされず、造船所からも、デイセーラーはニッチ市場で、もっと一般的なヨットをやった方が良いぞ、と言われたもんです。カタログを見せても、セーリング好きじゃないとね、とも言われました。この時はヨット乗りにセーリングが嫌いな人が居るのか?とも思ったものです。しかし、やっと、デイセーラーの面白さが少しづつ受け入れられきたと感じています。

最初の数年間では、引き合いだけは数百件は来たものです。しかしながら、キャビンが狭い、高い、皆さん興味はあったものの、割り切れない。そんな感じでしたが、実際の動きをみていますと、多くのヨットがめったに動かない。そんな現実を見ながら、もっと気軽にヨットを楽しむようになれば、と思ったものです。

その後、アメリカを始め、ヨーロッパにおいても、デイセーラーが注目されてきました。他の造船所においても、同じコンセプトのヨットが次々に建造されていきます。欧米ではもはやニッチ市場ではなくなりました。日本においては、まだまだですが、これからデイセーラーは少しづつ浸透していくものと期待しています。

何故、デイセーラーが面白いのか?一言で言えば、これまで動かすのがたいそうに思えたのが、気軽に出せる。それも簡単な操作で、シングルでも、ゲストを招待しても、そしておまけに質の高いセーリングをする事ができるという事です。動かないヨットよりも、面白いヨットの方が良いに決まっています。確かに、ロングのクルージングに行くようには造られていない。しかし、大事な事は、日常において、どれだけヨットを体験できるか、日常が大事ではないか、たまのイベントよりも、日々の面白さの方がもっと大切ではないかと考えるからです。一年、365日、日常の日にちの方が圧倒的に多いのです。

全ての方々に受け入れられるわけではありませんが、これまでの概念に無かった、デイセーリングというジャンルは、そのように割り切れた方々にとっては、これまでとは全く違うヨットライフを満喫できるのではないかと思います。それはセーリングそのものを気軽に楽しむという、とっても基本的な行為で、基本的でありながらクルージングにおいては、あまり重要視されてこなかったという事があります。クルージング派であっても、スイスイと自由自在に帆走できれば、面白いに違いない。
デイセーラーの原点は、セーリングを気軽に遊ぶという事にあります。

ヨットの面白さがどこにあるのか、何を求めているのか、何を体験し、味わいたいのか、もう一度、考えてみる必要があるのではないかと思います。そしてセーリングはヨットの原点です。そこにアプローチしたのがデイセーラーです。今年も、もっとデイセーラーについてアピールしていきたいと思います。宜しくお願い致します。

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