第八十五話 欧米事情

そんなに多くの経験があるわけでは無いのですが、一応仕事柄欧米のマリーナや造船所にはかなり訪問してきました。何が最も違うかと言いますと、マリーナ、桟橋、そういう場所がかなり身近にあるという事です。前話でも湖の事を書きましたが、欧米のマリーナ、そのマリーナの中でもかなり遊べる。いろんなエンターテインメントがそこにある。

町の中にまでヨットが留めてある。ちょっと出て、桟橋にヨットをとめれば、道路ひとつ挟んで目の前にカフェがある。イタリアでしたか、漁港らしきところに入ったら、これがもうこじゃれた感じで、小さいながらもしゃれたレストランやいろんな店もある。彼らは、簡単にそんなところにとめて、楽しんでいます。或いは、ちょっとした入江でアンカー打って、1日を過ごす。誰にも邪魔されず、読書したり、子供達は泳いだり、大きなマリーナでは、マリーナから出ずとも、マリーナ内で、ヨットで行って、桟橋につけ、そこのエンターテインメントを遊ぶ。大きなマリーナです。遊ぶところがたくさんあって、もちろん、ヨットやボートのオーナーだけでは無く、一般客もたくさん来るわけです。とっても賑やかです。そこで食事して、酒飲んで、ジャズなど聴いて、そしてまたヨットで自分の桟橋に戻るわけです。そして今夜はヨットでお泊りです。何と贅沢な。

こんな環境であれば、セーリングを主で無いにしても、楽しむ事ができます。これはこれでひとつのスタイルです。ところが日本にはこんなスポットは無いに等しい。無い物ねだりをしても仕方無いので、日本は日本のスタイルを作る必要があります。まして、対岸にしゃれたレストランが出来るのを待つわけにはいきません。

ヨットから見た欧米の環境は全く違います。その環境があるからこそ、あのキャビンヨットは有効に生きてくる。その環境無しで、相当自分自身で演出しなければならない。誰も遊んではくれないので、自分で演出が必要です。でも、これは大変な重労働になりかねません。そこで、いつもの通り、デイセーリングを主としたらどうですか?となるわけです。

欧米ではそんな環境ですから、デイセーラーでも充分な部分もあるわけです。セーリングを堪能して、近場のレストランに行って、いろいろ楽しめる。1泊か2泊するぐらいなら、充分なのです。多分、彼らもそういう事に気づいた。大きなキャビン無くても、今まで通り充分楽しめる。1週間も寝泊りするわけじゃない。ならば、セーリングがもっと面白い方が良いじゃないかと。

環境を変えるには、係留している場所を変えれば良い。しかし、日本中のマリーナを探しても、欧米のような環境はない。ならば、今の環境で最も有効な、面白い乗り方は何か、という事を考える方が良さそうです。そこで考えたのがデイセーラー、欧米とは環境は違います。回りの恵まれた環境はありませんが、海がある事は同じです。ならば、海を遊ぶのが最も良い方法でしょう。それにはセーリングだろうと思います。オンリーではありませんが、メインだろうと思います。

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