第六話 コリアンパワー

最近の傾向として、韓国やロシアから日本の中古艇を買いに来るお客様が増えてきました。日本の中古のかなりの数が輸出されてきています。数年前迄は相当古いのばかり買いに来ていたのですが、最近では結構新しい物、サイズも大型化してきています。ただ、韓国の税金が高いそうで、新艇となりますと相当高くつくようで、多くは中古、特に日本は近いので、日本の中古市場がターゲットになるようです。

福岡は韓国に最も近い位置にあります。ちなみに福岡から韓国の釜山まで約100マイルちょっとですから、通関後、回航するケースが殆どです。最近はコリアンパワーに押され気味?

ある韓国通の方に聞きますと、ヨットやボートに限らず、高級車も多く、税金が50%だそうで、新車よりも、中古のポルシェやフェラーリなど、日本は当然ながら、ヨーロッパにも中古車を探しまくっている様子。なかなか韓国は元気一杯のようです。

日本と言えば、まだまだなかなか元気がありません。最近の株安の影響もあるのでしょうか、関東あたりでは大きなボートが入ってきている話も聞きますが?まあ、波はありますから、と言いながら、なかなか日本のマリン業界も低迷が続いているようです。ただ、昔と違う傾向というのは、大量生産艇ばかり、みんな同じような艇ばかりだったのが、最近では結構個性的なヨットも増えてきたようです。日本は量としては、なかなか増えてきてはいないようですが、質の面では上がってきていると思えます。つまり、今あるヨットのオーナーは新規参入者は少なく、その代わり長い期間続けてきた方が多い。よって、違いも解る。そういう事ではないかと想像しています。

初期段階では、量が多くなり、経験をつんでいくと質に向かい、それでもすこしづつ全体量が増えていくのが理想ではありますが、なかなかそうもいきません。欧米事情と違う点は、日本がこれからもう一歩踏み出すには、多くの方々が、今持っているヨットやボートをどんどん使って、遊んでもらわなければならない。それさえあれば増える。しかしながら、相変わらず、天気の良い週末であっても、最近の暖かい日でも、動いていないのが多い。これを何とかしなければなりませんが。

セーリングと言いましても、一旦マリーナを出て、セールを出して、ある程度決めてしまえば、後はあまりする事が無い。そう感じられる方々が多いのではないか?すると後はおしゃべりぐらいしか無い。ならば、ちょっと遠出の旅ぐらいしかエキサイティングな事は無い。でも、遠出する暇も無い。
で、結局はほんのたまにしか来ない。そういうパターンが多いのではないか?

今からどんどん増えていく段階にある韓国などは、おそらく昔の日本と同じでしょう。クルーもたくさん集まるでしょうし、乗るだけでエキサイティングなのかもしれません。成長期はそういうもんでしょう。でも、これが長くなりますと、質を考えなければなりません。質はヨットやボートの質もありますが、遊び方の質もあります。そこを考えないと、面白さが減少していく。日本はそういう時期かもしれません。欧米とはライフスタイルが違う。日本人に合う、遊び方の質、これからはこの質が重要かと思います。これまで通りなら、今見て解るように、多くのヨットが動かない。面白さが今一見出せないからだと思います。

是非、遊びの質、遊び方、スタイル、そういう事を考えてみてください。どうやったら、もっと面白くなるか?面白いと感じれば、動かしたくなるのが当たり前です。世界には既にいろんなヨットがあります。ハード面は揃っています。後はソフト面さえ整えれば、もっともっと面白い遊びができるに違いない。それも、欧米と同じスタイルでは無く、日本人に合うスタイルが求められる。それが今の時代。コリアンパワーはすごいですが、日本は質が問われる時期に来た。

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