第二十七話 More Daysailos

  あっちこっちでデイセーラーがデビューして
  おりますが、また新に出たのがこれMD35
  カーボンマストに排水量2.41tに対し、バ
  ラスト1.2tですから約50%のバラスト比
  幅はわずか2.22mしかありません。もち
  ろんこれはレース志向です。

  デイセーラーコンセプトが定着し、一定の地
  位を確立してきた時、そのコンセプトが受け
  入れられてきますと、デザイナーも造船所も
  艇の建造にあたって、セーリングへの割り切
  りがし易くなり、もっと高性能ヨットが作り易く
  なってきています。

  つまり、デザインにあたって、キャビンはそれ
  程に考えなくても良い。市場が受け入れてき
  ているという事実がある為、セーリングに集
  中して考える事ができます。

  充実したキャビンとセーリングを両立させる
  事は難しい。しかし、ここにきて、キャビンを
  それ程考えなくても良いようになってきまし
  た。その事がヨットデザインを新しい方向に
  導く事になります。

レースをしようが、しまいが、簡単に操作ができて、高い帆走性能を持つ。そういうヨットでは天井が低くて真っ直ぐ立てなくても、それをカバーする以上のセーリングの快感を味わう事ができる。充実したキャビンを持つヨットが、さらに進化していく一方で、別なところではこういう遊び方が増えてきている。ヨット先進国における世界的な傾向です。残念ながら日本はそこまでは行きませんが。

デイセーリングというコンセプトを打ち出すだけで、デザイナーはセーリングデザインに解放感を覚えたと思います。快感かもしれません。キャビンはシンプルで、狭くても受け入れられる土壌ができてきたので、その事をあまり深く考える必要性は無い。それより、船体の形状やセールプラン、セーリング性能に腕を発揮できる。そうしますと、サイズが小さくても、とっても美しいラインを造る事ができる。

デイセーリングが流行ると、こういうもっとスピードを求めたヨットも出てくる。目指すはワンデザインレース、海外では数が多く入るので、そういう事をすぐに考えますね。日本じゃ無理ですが。このように、デイセーラーコンセプトは多くのオーナー達をセーリングに引き戻し、もっとセーリングを楽しもうと呼びかけます。キャビンが重要で無いなら、こんなセーリングができますよと叫びます。ショートハンド、シングルにおいて、ハイパフォーマンスのセーリングを遊ぶなら、こういうデイセーラーは最高かと思います。

ここでデイセーラーも大きくは二つに分かれる。どちらもセーリング性能は優れていますが、その中でもワンデザインレースを中心に考えられるスピードヨットとハイパフォーマンスクルージングとでも言いましょうか、シングルでも容易に操船ができる、レースもして良いが、自分でスポーツすると言いますか、ここでもレーサーとスポーツカーぐらいの違いでしょうか。いずれにしろ、世界は新たな市場に突入しています。

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