第八十八話 気軽なセーリング

何度も書いたかと思いますが、世界は気軽なセーリングを手に入れようとしています。アレリオンに始まったデイセーラー市場は、瞬く間に世界に広がりつつあります。それは、たいそうな準備や経験のあるクルーを手配したり、そういう煩わしさから開放され、もっと気軽にセーリングを楽しもうという気運が高まってきた証拠でしょう。

 

ドイツ生まれの新しいデイセーラーが誕生しました。キャビンはご覧の通り、シンプルそのものです。でも、気軽なデイセーリングに何が他に必要でしょうか?考えてみれば、無いのは不便と考える事もできますが、逆に、何も無いので、気軽という事もできます。美しいクラシックスタイルに、船底形状はモダン。

たいそうな装備が無いかわりに、気軽なセーリングを快走して楽しむ事ができます。外洋の重装備に対して、お気軽セーリングです。このヨットはドイツ製、29フィートです。コンロはキャンプ用でも、ポータブルでも持ち込む事ができますし、水だってペットボトルを買っていけば良い。それより、面白いセーリングを気軽に楽しめるのは、良い事でしょう。

こういう使い方が世界中に広がりつつあります。重装備を必要とする外洋の旅というものもありますが、一方で、こういう気軽なセーリングの楽しみ方もあります。これまでは、何でも付いているのが良しとされてきました。しかし、装備が多くなれば、なるほどに気軽さは失われてきます。もっと気軽に、自転車やバイクのように、或いはスポーツカーのように、セーリングを日常に持ってくるという方法もあります。世界はそういう流れもできてきました。日本では、まだ早いですかね、こういうのは?何も遠くへ行くだけがヨットじゃないし、世界を回るのがヨットじゃない。性能の良いヨットで、近場であろうが、自由自在に乗り回すセーリング。そういうのも面白いし、気軽に出す事ができます。

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