第九十四話 中古ヨット

昔と違って、最近では結構ヨットが古くなってきました。20年以上古いなんてのも珍しくありません。こうなってきますと、艇の使い方によって同じ年式でも状態はかなり違ってきます。これまでは、年式がほとんど価格を左右するような感じでしたが、これからは、年式と程度によって、価格は変わってきます。そして、ヨットがもっともっと長く使う事ができるという事が、一般的にも知られれば、年式よりも整備状況の方が重要なファクターになっていくと思われます。

そういう意味では、使いっぱなしにはしておけなくなります。大事に使えば、長く使う事がができる。だいたい、FRPのヨットが実際はどのぐらい使えるものかは解っていません。何しろ、FRPで建造が始まったのが、確か、1950年代ぐらいではないかと思います。それから先どのくらい使えるかは時間が経たないと解らない。FRPの寿命というより、構造的にしっかり造られているかどうかとか、使い方とか、整備状況の方が寿命を左右するのかもしれません。

船体さえしっかりしていれば、後は、ポンプ類が壊れたり、消耗品の交換とか、そういう事をきちんとするかどうか?エンジンなんかですと、整備さえきちんとしていけば、何千時間も持つし、オーバーホールすれば、また使える。船体とエンジンは本来、長く、長く使えるものではないかと思います。10年に一回ぐらいは、全体を見直して、消耗品等は交換するぐらいが良いかと思います。それで、良い状態のヨットが、その分高い価値を持つようになれば、市場は成熟してくる。欧米は既にそういうマーケットです。

欧米の中古を見ますと、何年に何をした。そういうデータがきちんと出ています。日本はそのあたりが曖昧。交換したとしても、いつかなんか記憶に無いし、時にはいい加減な事もあります。これからは、いつ、何をどうしたかという整備状況はきちんと記録しておいた方が良さそうです。そういうのが、販売価格にも影響を与えてくるでしょう。是非、整備ノートを作られたらどうかと思います。

買う側の立場としても、ヨットのそういうデータがきちんと残っていれば、安心です。これがあるから大丈夫という保証にはなりませんが、少なくとも、整備状況は良く解りますし、だいたいそういうヨットは良いコンディションになるでしょう。

日本では、壊れるまで何もしない傾向にあります。でも、できれば、壊れる前にでも、定期的な交換とか、まだ動くが、いつ壊れてもおかしくないとか、整備ノートをつけるようになると、きっと対応の仕方も変わるのではないでしょうか?それが売るとか売らないとか関係無く、自分のセーリングにとっても、より良い状態に、いつも保つ事ができるというのは、悪い事では無いと思います。それに、大きなトラブルを未然に防ぐ事にもなります。

是非、整備ノートを記録して頂きたいと思います。船底塗装をした。シャフトのジンクを交換した、オイルを交換した、そんな当たり前の整備も含めて、できるだけ詳しい整備を記録していきますと、自分のヨットが良く解るし、それに見る目も違ってくると思います。そうしますと、ヨットのコンディションは必ず良くなっていくと思います。是非、お奨めです。

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