第四十一話 美しすぎる?

美しいヨットは大好きで、ヨットは美しくなければと思います。しかしながら、メインテナンスの事なんか何にも考えていないような、どこも裏側とか見れないような、そんなヨットもありますね。最初は良いにしても、何年か経ちますと、どこかに不具合がみられるのは当然でありますが、こんな時に困ってしまます。

また、何か取り付けようとか思いますと、どこかにキズをつける事になり、それも遠慮しがち、どうもこういう美しさは苦手です。それに、ほんのわずかなキズでさえ目だってしまいます。

ヨットは美しくなければなりません。しかし、船齢を重ねるに従って、手入れをして、使い込んだ美しさが出てくるヨットの方が良い。味が出てきます。美しすぎるヨットは船齢とともに、その輝きを失い、美しいヨットは船齢とともに輝く。キズさえも、そのヨットの一部となり溶け込んでしまう。
ヨットは長く使うものです。何十年も使う。という事は皺の1本1本が、そのヨットの顔の一部として積み重なる。それを含めて、美しくなるヨットが良いなあ。

実際、こういう事がありました。オーナーのご希望でデッキにストッパーを1個設置してほしいという要望があり、それを設置するには、キャビン天井に穴を空ける必要が出てきました。設置は良いのですが、空けた穴には何かでカバーをしないといけません。それがみっとも無くなる可能性がある。という事で、設置とりやめになりました。

あるヨットは、美しい内装、ピカピカ過ぎるほどのニス仕上げ。でも、木部の縁の一部に使っていって、摺れてニスが落ちてきています。これが目だってしょうがない。まだ、他はきれいなままなのに。

美しいにも種類があるようです。そういう事も考慮しないと、船齢はまだまだなのに、実質以上に古く見えてしまうヨットもありますね。

美しさとは関係ありませんが、古くなりますと燃料タンク内にへどろのような軽油のスラッジが溜まります。ヨットは特に燃料使わないので、古い軽油のせいでしょう。それが燃料パイプを詰まらせてしまいます。こういう時は、タンクを洗うのが一番ですが、これが洗えない。どこか破らないと洗えない。これも困ったもんです。美しさも大事ですが、こういう事も大事な事です。

古いヨットを美しくする手っ取り早い方法は、もちろん掃除です。要らない物を撤去して、きちんと整理整頓。灰皿にタバコの吸殻の山なんてヨットもたまにあります。撤去したら、クリーニング。これだけでも相当きれいに見える。おまけに、あっちこっちにアイやら、紐やら、ネジやら、いろんな物がつけてある。これも不要な物ははずす。キズが残りますが、使わないさびかかったようなネジなんかよりましであります。

クリーニングが終わったら、ブームカバーなんか破れていたりしたら、これは作り変えて、できれば、ハリヤードやシート類を新しくする。もうかなりきれいになる。ロープ類は全部取り替えますと、かなりの長さ、200mぐらいすぐなりますから、結構な出費になりますが、その効果は抜群かと思います。おまけに、木部の汚れを落とそうもんなら、もう見違えます。

クッションもカバーが少し破れていたり、磨り減っていたり。カバーを張り替えるか、どこかでカバー的な生地を買ってきて、上に被せるのも良い方法でしょう。とにかく小奇麗に。

ついでに、船底掃除もして、エンジンもオイル換えて、もうりっぱなもんですね。形を変える事はできなくても、美しくする事はそう難しくありません。不要な物を徹底的に捨てる事です。実にたくさんの不要物があります。もう何年も使わなかった物、ある事さえ忘れていた物、同じ物がいくつもあったり、ついでに、船底のバルブもきれにに、動くように、荷物はできる限り少なくする。へたすると、数センチも船体が浮くかもしれません。そんなに私物が一杯なのです。

アンカーロッカーを覗いて、サビまくったアンカーや、汚いカビだらけのロープなんか思い切って捨ててしまおう。新しいロープで気持ちよく。要らない物があっちこっち、徹底的に捨てましょう。
ニス塗装なんかしなくても、ハル塗装なんかしなくても、その前に奇麗にする方法がある。捨てる事と、掃除です。

スッキリしますと気持ちが良い。また、乗ろうかという気にもなります。乗らない原因のひとつは、ヨットが汚い?それもあるかも?

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