第六十九話 アレリオン33 ”S”

アメリカではまだこのアレリオン33Sの発表は正式にはなされておりません。代理店のみへの発表という段階ですが、既に2艇の受注があるとか、さすがはアメリカ市場と言わざるを得ません。まだ、第一号艇もできていない段階なのですから。でも、基本的にはアレリオン33と同じですから、理解はし易い。

このバージョンを考えるに、市場への少し価格を落とした艇の導入で、これは現在の経済状況を反映した手法かと思います。しかし、考えようではありますが、デイセーラーを主とする時、アレリオン28がそうであるように、シンプルな内装でも十分ではないか?これで無くなった分は、ギャレーです。マリントイレと手洗いはそのまま。メインキャビンは両サイドバースのみになりました。

デッキを見ますと、キャビントップ左右にセルフテーリングウィンチが2個。これで、全部の操作ができます。アレリオン28と同じです。ティラーにメインセールのバーニーポスト、もちろん、ジブブームとライトエアーイクステンダーも付いてます。アレリオン28と違うのは、オプションですが、ステアリングホィールに変更する事も可能だという事です。



コクピットのシートはイラストの通り、フィラーをはずせば、右のイラストのようににもなります。

内装が少しシンプル化し、エンジンはヤンマー14HP、造船所発表では機走6〜7ノットだそうです。電動ウィンチもマニュアルになっていますが、まあ、そんなこんなで、約300kgの重量軽減になり、バラスト比は41%にアップしています。セーリングを中心に楽しむ事を考えましたら、十分かと思います。アレリオン33はその豪華バージョンという位置付けになりますね。重量が軽くなった分、セールエリア/排水量比は、24.4と、かなり高い数値を出しています。バラスト比も高いし、帆走にはかなり期待できるし、面白いヨットかと思います。

ギャレーが無い? ギャレーがそんなに必要でしょうか?ポータブルコンロを使う人は多い。ヨットにコンロが設置してあってもです。その方が簡単だし、危険度も少ない。シンクが無い?手を洗うぐらいなら、トイレに手洗いはあります。アレリオン33S、決して安いヨットではありませんが、これはなかなか面白くなりそうな予感です。

アメリカ市場でも、最近聞く話は、これまでは、あるヨットが受注されると、ありとあらゆるオプションが設置され、豪華版になっていた。それが不況によって、受注はあるが、前よりはシンプルになってきているそうです。そういう事態での、アレリオン33Sの発表がある。日本では、以前から、アメリカとは違い、何でもかんでも設置して豪華版にするという事はありませんでした。必要十分でOKでした。ですから、日本は変わっていない。そこにこのアレリオン33Sはピッタリなのかと思いますね。

実際、アレリオン28でセーリングしていて、何ら不足は無い。必要な物がちゃんとあります。操作もし易い。そこにサイズを33フィートにして、冷蔵庫つけて、ギャレーつけて、個室トイレつけて、云々。それがアレリオン33でしたが、セーリング関係のビッグメインとかカーボンマストは良いにしても、デイセーラーに冷蔵庫やギャレーは必需でも無いような気がします。それより、気軽に乗れて、メインテナンスも少なくて、面白いヨットが良い。アレリオン33Sはベストセラー艇のアレリオン28の流れを汲むヨットという感じ、これは是非、日本にと思っています。予約受付中なんですが?

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