第59話 シングルハンドジェネカー

あるオーナーはシングルハンドでジェネカーを展開されます。そのやり方について、ご紹介
しましょう。ヨットは25フィートです。購入した時、通常の対称形のスピンがついていました。
このスピンの片側をカットして、ジェネカーに改造、これに自作のバウスプリットとをバウに
設置されました。このバウスプリットはディンギーに使われたスピンポールで、この中に木の
棒をさし込み補強されています。以前、木製のバウスプリットを作って試してみたところ、上
下に折れる事はなかったものの、右舷側に折れた経験があり、今度はアルミパイプに、木の
棒を入れたという事です。

あらかじめ、改造ジェネカーを輪ゴム(よく見る普通の輪ゴム)で6箇所程とめておきます。これも
バケツの底をくりぬいて、輪ゴムを6本、バケツの外側に通しておきます。ジェネカーをバケツの
穴に通しながら、輪ゴムを1本づつ適当な個所にとめていきます。これで準備OKです。

追っての風でメインの影になるように舵を操作し、オートパイロットを作動させます。バウスプ
リットの先端のブロックを通して、タックにガイをつけ、シートは2本ともゆるめておく。このまま
一気にハリヤードを引き、(マスト下から引く)上まで上げる。そして、コクピットに戻って、シート
を引くと、輪ゴムが切れて展開するという仕掛けです。毛糸を使うという話もありますが、最近
の毛糸は化学繊維が入って、切れにくい、。輪ゴムがちょうど良いとのことです。

もちろん、風が弱い時にしか出しませんが、ジャイブはまずメインシートを引いて中央に寄せ、
オートパイロットで舵を切り、それに合わせて風下のシートをリリース、同時に新しい風下側の
シートを引く。そしてメインシートを出す。

問題は降ろすとき、メインで影を作ってオーパイを効かせ、ガイと風下シートを緩め、バウへ移動
ハリヤードをゆっくり降ろしながら、ハリヤードを足で踏んで調整しながらゆっくり降ろす。風上側
のシートを引きながら取りこみ、バウハッチから中に入れこむ。こういう手順でシングルハンドで
ジェネカーを楽しんでおられます。

オーナー曰く、”良いんだよこれで、遊びだもん、好きなようにやるさ”。既に引退されたこのオー
ナーは殆ど毎日マリーナに来て、これはと思ったことを何でも自分なりに工夫してやってあります。
良いですね。実に楽しそうです。自分で考えて、工夫して、試す。これが面白いようです。

この他にもいろいろな方法があると思いますので、自分で試されたら良い。殆どのクルージング艇
ではスピン、ジェネカーなどが使われていませんね。もったいないです。
何でもそうですが、こうしたい、ああしたいという意識があって、それを工夫して実現していく。できる
かできないかなんて考えていないのです。どうしたらできるかしか考えていない。これが遊びの極意
なんじゃないでしょうかね。そして、こう言います。”遊びだもん”

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