第6話 欧米での動き

ヨーロッパやアメリカでは、大型艇をシングルで楽に操船できるようにするという
動きが顕著です。以前にも紹介致しましたが、全てスイッチひとつで操作で
きるヨットが建造されています。こういう動きを可能にした理由はメガヨットにある
のではないかと思います。                               

世界では100フィート以上のメガヨットが年間100艇進水すると、随分前に聞い
た事があります。モナコにあるメガヨット専門の中古ブローカーは平均で月に1艇
のメガヨットを販売すると言っていたのを思い出します。このメガヨットを操作する
には油圧システムや多くの機器類の存在無くしてはありえない。写真なんかを
見ると、大きなヨットに2〜3人しか乗っていないヨットを良く見かけます。このシ
ステムを小型化し、一般のヨットに採用すれば、50フィートや60フィートが楽に
操船できると考えても、それは自然のなりゆきだったのでしょう。これら機器類
は決して昨日、今日出た新しいものでは無く、ずっと前からメガヨットには使わ
れていた装備だった。こういうことかと思いました。                 

欧米ではメガヨットは操船するのに機器類を積みこむ、そうすると、かえって、50
フィートあたりの方が、操船は大変だったのかもしれません。しかし、これからは
電動システム、油圧システムなどがどんどん採用されるでしょう。そして、楽に 
大型艇を操船できる時代が来ています。                       

日本ではあいにくメガヨットの姿が殆どありません。従って、欧米のような考え方
を持つのは容易では無い。シングルハンドは小型艇と、相場が決まっています。
しかし、先日ある方と話をしていましたら、こんな感想を漏らされていました。自分
のヨットは35フィート、このぐらいのサイズが最も大変かもしれないな。大型なら
電動/湯圧システムを採用できる。小型なら楽々、でもこのぐらいの中型だと、た
いそうなシステムを装備する程でも無いし、かといって強風時のシングルはそれ
なりにきつい。なるほど、と思った次第です。                     

クルーが居ないなら、小型か大型、クルーが居るなら中型でも良い。そんな時代
になりつつあるのでしょうか。


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