第七十四話 ゲスト

シングルハンドをと言ってますが、ゲストが来る時はそれで楽しいものです。多くの方にヨットの面白さを味合わせていただきたいものです。でも、ゲストが居るからと言って、いつも穏やかに、穏やかにという走り方をされる場合が多く、出港したら、飲み物出して、お弁当広げて、昔はすぐにビールというのが相場でした。

でも、ゲストにとって、それが良いかどうか?ある方はゲストとして乗って、そんな感じだったのですが、それで、ヨットの何が面白いのか?と疑問を投げかけてくる方もおられた。また、ある方は、ゲストを乗せて、オーナー側ですが、穏やかで終わる時、2度目は無いが、ある程度は走って、緊張感を得た時なんかの方がゲストは2度目があると言われました。

結局、ゲストにとっても、面白さが必要なんですね。確かにヨットの上、海の上で、日常とは違いますが、ビールや弁当で楽しめるのは、そう大きなものでは無いのかもしれません。そこに、ちょっとヨットらしさ、セーリングならではの面白さの演出があった方が良い。どうせ乗って頂くなら、楽しんで帰ってもらいたいものですから。ゲストが楽しかったら、オーナーも楽しいはずです。

逆に、オーナーがヨットの楽しさを知って、それを味わってもらう。それが良いと思います。それで、みんなが楽しめるとは限りませんが、そこまでは面倒見切れない。

是非、ゲストを呼んで、ゲストにヨットの楽しさを伝えてください。そのゲストは明日のオーナーになるかもしれません。そうなると嬉しいです。

ヨットはセーリングだけではありませんね。マリーナに帰ってきてから、みんなでコクピットに座って、そこで食事したり、飲んだりできます。それもヨットの楽しみ方のひとつ。まてよ、そうなりますと、セーリング中は、セーリングに徹した方が良いかもしれません。

ゲストに船体のヒール感覚を味わってもらって、セーリングのスピード感を味わってもらって、時に操船の手伝いをしてもらって、どうやってヨットが走るのかを伝えて、セーリングのフィーリングをたっぷり味わってもらう。そして、マリーナに帰ってきてから、たった今味わってきたセーリングをネタにしながら、みんなで飲み食い。そっちの方がメリハリもあって、事の変化があるので、おもしろそうです。セーリングで緊張を感じたら、今度はコクピットで緩和を楽しむ。

セーリング中にも緊張する時があり、緩む事があります。結局、いかにこの緊張と緩和を味わうか、そこに面白さの源泉があるのではないでしょうか?ですから、自分ひとりで乗る時も、ゲストを呼ぶ時も、いかにこの緊張と緩和を演出できるかにかかっています。

つまり、自分がエンターテナーになる事ですね。自分をエンターテインする時もあれば、ゲストをエンターテインする事もあります。是非、エンターテナーである事を意識して、面白い演出をして、自分自身をゲストを楽しませてあげて頂きたいと思います。

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