第十話 操作

概要を掴んで、各セーリングのイメージを描く事ができたら、そのイメージを実際に作ってみることになります。既にイメージがありますから、セールの角度を変える、形状を変える、両方を変える。どの艤装をどうすれば、そのイメージのセールを作る事ができるか。ちょっと学べば、簡単にできます。但し、問題はどの程度の調整が適切だろうかという問題です。

これはひたすら実践の積み重ねしかありません。そして、鋭い観察力が要求されます。さらに、自分の鋭い感性も動員されます。良く見て、良く感じてですね。そこから得られる情報を元に、さらに調整量の精度を上げることになります。

通常使う艤装は、メインとジブのハリヤード、各シート、ジェノアトラック、メインシートトラベラー、バックステーアジャスター、アウトホール、ブームバング、まあ、これにカニンガム(無い場合が多い)
というところでしょうか。これらを使って、セールを自由自在に操る。前述しましたとおり、調整量はともかく、どの艤装を使って、イメージどおりのセール形状を作るかです。

各艤装の役目を考えます。ロープを引いたら、或いは緩めたら、セールにどういう力が働くか?そして、これらを組み合わせて使う事で、ドラフトの深さの調整、前後位置の調整、ツイストの量、セール角度等々を自由に形作る事になります。その形が自分の持つイメージであり、そのイメージは風の強弱、風向によって適量で無くても、やり方としては適切でなければならない。それさえおおまかにでもイメージできれば、もう後は遊ぶのみ。どんどん乗って、そのイメージを洗練していきます。セーリングとはそういうゲームではないでしょうか。

重要な事は、自分で確かめるという事かと思います。シートを出して、トラベラーで引き上げてとそのまま実行するのでは無く、自分でも考えて、シートを出してみて、トラベラーで引き上げて、各動きを観察して、理屈を充分理解して行う。重要な事は自分で考えるという事かと思います。もし、新しい何かに遭遇するとき、その習慣が自分で解決策を考え付くようになる。ここが大事かと思います。

一通り理解して、イメージして、調整して走る事に慣れ、うまくなっていきますと、そうでは無い時、彼女とピクニックセーリングしている時でも、その感じは、今までとは全然違うものになっていきます。ですから、誰でも、一旦はこの道に入り、体験しておく事は、これからの長いヨットライフの質を向上させていくのではないかと思います。

ヨットという乗り物は、技術や知識を要します。全くの初心者が、これらの技術なしには動かす事ができません。それは誰でも承知です。でも、こういう技術を要するものというものは、技術のレベルがあり、技術のレベルが高くなりますと、余裕でこなす事ができるようになります。それでもちゃんと集中していますと、より繊細な変化にも気付く事になります。すると、それは新たなフィーリングの味わいにもなる。という事はうまくなった方が、より面白いという事にもなります。

全ての方々が、同じところに面白さを感じるという事は無いとは思いますが、しかし、こういうヨットをするにあたっては、ヨットがうまいほうが良いし、そしてどういう使い方に発展していくかはそれぞれでしょうが、やっぱりセーリングは基本的な事なので、ある程度までは使いこなせる状態にまでは持っていった方が良いとは思います。

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