第百話 日常ヨットライフ

特別に計画して、何かをするという楽しみ方もあるのでしょうが、基本的には、日常的な使い方にこそ、楽しさや面白さを持ちたい。年に1回とか2回とか、特別なイベントとか、そういう事も楽しんで良いわけですが、あまりにもそちらに重きを置くと、普段はどうするのか、という事になります。

それがデイセーリングの発想になるわけですが、それを突き詰めたのがデイセーラーという事になります。デイセーラーなら、ひとりでも気軽に出せるし、誰かとデートセーリングでも良いし、家族とピクニックも気軽にできる。おまけに、もっとセーリングをしたいと思えば、高い帆走性能を持ちますので、シングルでも味わう事ができます。さらに、キャビンは狭いですが、少人数なら、1泊か2泊程度ぐらいまでなら、クルージングとして遊ぶ事もできます。

多くの使われ方としては、この範囲なのではないでしょうか?そう思って、デイセーラーを推進しております。

大きな動かないヨットより、気軽に出せるヨット。ある特別な日を思うより、日常にいかに楽しさ、面白さを味わえるか?そういう発想を持った方が、良いのではないか?

日常にもいろいろあります。考えてみれば、家族とピクニックでも、誰かとデートでも、それらはちょっと特別なイベントになります。しょっちゅうそういう使われ方をするヨットを知りません。ですから、イベントです。

すると、もっと突き詰めると、ヨットは自分だけのセーリングの味わいか、誰かクルーとのセーリングになるか、それが日常的な使われ方になります。すると、それはピクニックでは飽き足らず、セーリングに向かう事になるでしょう。その方が面白くなりますから。

それで、それに対応すべく、デイセーラーがデザインされています。特にシングルの方には最適で、しかも、楽にセーリングを味わえるようにデザインされています。常駐クルーがおられる方には、その限りでは無いかもしれませんが、シングルを可能にする事は、自由を得る事ができます。いつでも、思った時に出せるという自由です。

気軽にマリーナから出せるという事は重要なポイントです。そしてセーリングが楽なのに、セーリングが面白いというのも重要です。低いフリーボートは、海面が近く、それだけでも気持ち的には違います。さらに、腰は強くセーリングの味わいには最適ではないかと思います。

但し、欠点もあります。気軽さとセーリング性能を重視した為、キャビン天井が低い、狭いという事です。でも、両方を取るわけには行きません。デイセーリングにおいて、さほどキャビンは重要では無いという考え方が基になっています。その分重心が低いので、どっちが良いかという選択は、オーナー判断という事になります。

その代わり、広いコクピットがあります。殆どはこのコクピットに居る事が多いわけですから、長い旅でもしない限り、大きなキャビンは必要では無いと割り切っています。それより、気軽さ、セーリングの味わい、自由自在、日常には、そういう事の方が楽しさ、面白さを味わえると考えます。
是非、日常としてのヨットの使い方を考えていただきたいと思います。

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