第二十八話 セーバー456

米国東海岸のメイン州に位置するセーバー社、この度、セーバー456を発表、建造しています。これで、従来の386、426モデル、及びデイセーラーのセーバースピリットに加わる、フラッグシップモデルとなります。

  パフォーマンスクルーザーという言葉があり
  ますが、セーバーヨットはパフォーマンス外
  洋艇。外洋と言えども、セーリング性能が高
  ければ、それだけ足を延ばせます。

  セーバーヨットはプロダクション艇ではありま
  すが、出来る限りお客様のご要望に対応す
  べく、豊富なオプション設定を持っています。
  
  この事は、日本とは少し違うかもしれません。
  何でも標準が必ずしも良いわけでは無く、お
  客様の考え方も違います。

  このヨットを沿岸クルージング用に艤装して、
  楽に操船できる方向に行っても良いし、或
  いは、外洋志向で装備しても良い。

  頑丈な船体と確かな造り。それがセーバー
  クオリティーと呼ばれています。

  マストはアルミ製、3スプレッダーで少し後部
  側にスウィングバックしています。マスト位置
  はやや前側となり、J=5.40mに対して、
  E(ブーム長)=5.84m、セルフタッキング
  ジブの設定もあります。ジブを小さく、メイン
  を大きくです。

  キールはフィンキール、排水量=11.96t
  の中排水量にバラストは鉛で強化の為に
  アンチモニーを混ぜて作られます。重量は
  4.93t バラスト比41%

  東海岸特有のちょっとトラディショナルな
  デザインで、時代を超えたデザインと言えま
  す。


  日本には沿岸クルージング用のヨットはたく
  さんありますが、こういう外洋向けでセーリ
  ング性能も重視されたヨットは少ない。
  こういうヨットを、例え、沿岸クルージングに
  使った時も、時化た時の安定感、安心感は
  格別に違います。

  外用一辺倒なら、ロングキールのヨットなん
  かの方が、もっと楽で良いかもしれません。
  しかし、それなら沿岸では使いづらい。
  でも、セーバーヨットなら、どっちも行ける。

  あるオーナーはメインファーラーとセルフタ
  ッキングジブ+ジェノア(使い分け)、それに
  電動ウィンチを配して、気軽に夫婦でクルー
  ジングを楽しまれる。また、インナージブの
  装備も設置されました。

  考え方次第で、いろいろ装備できます。それ
  がセーバーヨットです。



日本では、沿岸クルージング用の量産のプロダクション艇が相当多く進水してきました。もちろん、通常の使い方において、外洋を目指さない限り全く問題ありません。しかし、ひとつ言える事は、
外洋に行かないにしても、沿岸を走るにしても、時化に合う事は避けられません。もちろん、何時間か我慢すれば、どこかに逃げ込めるでしょう。でも、やぱり、こういう外洋艇は、こういう時に本領を発揮します。波当たりとか、安心感とか、全然違います。重厚な造りが違います。ただ、その代わり重量が少し重くなっています。微風においては、スピード的には負けるかもしれません。しかし、セールエリアによっては、これも速くなりますし、強風ならもっといけますね。こういうヨットが日本でも認められるようになれば、と思います。

ちなみに、排水量/セールエリア比は18.5になります。これは結構速いスピードをも期待できます。但し、排水量/水線長比は216で、中排水量となります。充分なセールエリアを持ちますが、ちょいと重いという感じですね。長期クルージング等には良いと思います。

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