第三十一話 孤独

考えてみれば、ヨットオーナーは孤独ですね。仲間がたくさん集まっても、家族が来ても、乗ってる間も、乗らない時も、ヨットの心配なんか誰もしてくれません。心配するのはオーナーだけでありますね。しばらくエンジン駆けていないからと心配したり、台風が来るとなれば心配し、そろそろエンジンオイルも換えておいた方が良いかなとか?心配するのはオーナーのみ。オーナーはやっぱり孤独なのでありますね。

それならそれで、孤独が基本だと思って、孤独を楽しんでみる方向にもっていくってのはどうでしょうか?自分の好きなヨットを好きに艤装し、好きに乗れば良い。孤独であるからこそ、できる何かを考えるのも悪く無い。陸に上がれば人だらけなんですから、一人になるなんて事は、考えてみれば殆ど無いわけです。貴重な時間と考える事もできます。

前にも言いましたが、純粋にセーリングを楽しむには、シングルが最適かと思います。それを自由自在にやれるようにと考えても良い。時に、仲間が来ます。それはそれで楽しんで、普通はシングルだと思う。

こうなったら、この際ですから、セーリングをもっと突っ込んでみましょう。ヨットを極めるつもりで。ヨットには詳しいオヤジになりましょう。そういう人生も悪く無い。それどころか、かなりかっこいいのではないかと思います。

誰もが褒めてくれるようなヨットを買ったとしても、誰も心配はしてくれません。ゲストの為に、でかいキャビンと豊富な装備をしても、褒めてはくれるが、誰も心配はしてくれません。それなら、自分の本当に気に入ったヨットで遊ぶのが一番です。

孤独は寂しいのでは無く、貴重な時間です。人はトイレと風呂ぐらいにしかひとりになる事は殆ど無い。贅沢な時間です。その時間に、ひとりでしか楽しめない事、ひとりだからこそ楽しめる事をしようではありませんか。それが孤独なセーリング。シングルハンドセーリングです。

気ままにやる時もあれば、気持ちが入って、セーリングに充実感を感じる時もある。全部ひとりだから、自分の気分に合わせて、遠慮なくできる事です。追求したければすれば良い。もっと行きたければ、行けば良い、帰りたかったら、帰れば良い。全部自由です。寂しい時は、誰かを誘い、煩わしい時はひとりで、疲れたなら、コクピットでお茶を。我々はいつも不自由です。だから、孤独は貴重な時間です。孤独である事を恐れる必要は無い。むしろ歓迎すべきです。

人と一緒なら、舵を握って、その手の感触に集中なんかしてられません。無口では居られない。
どこでも、しゃべりまくって、静かにしている時は少ない。沈黙を守るということは、感性が鋭敏になるのに。孤独は沈黙でありますね。

旅は孤独は寂しい。旅は道連れが良いとは思います。レースもひとりでレースなんかできません。結局は、何を求めるか?セーリングだったらひとりが良い、旅だったら仲間が居たほうが良い、レースだったら競争相手が居た方が良い。宴会はひとりじゃできません。結局は臨機応変という事になりましょうか?孤独も悪く無いという事であります。むしろ、シングルの面白さを求めるのはいかがでしょうか?それにはやっぱりセーリングを楽しむという事になりましょうか。

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