第五十八話 理論的に考える

セーリングはフィーリングだと思っていますが、運営は理論的に考える方が良いと思います。感情的に、便利だからと何かを採用したとしても、それは体は楽かもしれませんが、楽しいとか面白いというフィーリングには発展していかないかもしれません。

ある方、年齢における体力の事もあり、電動等のパワーアシストを採用された。それで、シングルでも楽に楽しむ事ができるようになったと言われていました。必要な事は、何かを採用したら、体が楽になる、便利というだけで無く、その事によって、出来なかった事が出来て、楽しみが増えたとか、そういう事に繋がる方が良いと思います。

そういう意味では、運営は理論的に、何がどうなって、こうなるというから、もっと行ける、ひとりでもできる、等々の判断があった方が良いのではないかと思う次第です。

我々はついつい便利だからと思い、便利は良い事と思っていますが、必ずしもそうでは無い。ヨット遊びは遊びなんですから、便利の極みとして、ボタンひとつ押せば、全てコンピューターが操作してくれるなら、それは便利です。しかし、要は面白いのか?という問題です。

便利であり、且つ、もっと面白くなるのなら、躊躇する必要はありませんね。即採用です。理性で考えるなら、多分、無駄な物が溢れるような事は無いかもしれません。すると、ヨットはもっと自分のものになる。ヨットはキャビンはあるけど、家じゃ無い。自分の家に対する欲求とヨットに対する欲求は違うはずです。ヨットは面白さを求めますが、家は安らぎを求める。求めるものが違うんですから、当然、やり方も違うし、装備も違って当たり前。理性で考えればそうなります。

ヨットに何を求めるか、それに対してどうするか、もっと理論的に考えた方が良い。でも、楽しむのはフィーリングで楽しみます。

それがあったら便利だけれども、それを使って、どんな楽しさ、面白さが味わえるか?その代用は何か無いか?工夫して代用を考えるのも、時として面白かったりもしますし、かえってそれの方が良かったという事もあります。

そして、できるだけシンプルで、面白がる部分が、便利グッズに盗られないように注意が必要です。例えば、オートパイロットの採用に反対はしませんが、使うのは最低限にした方が良い。何故なら、自分で舵を握った方が面白いからです。そう考えて、採用するかしないかを判断する方が良いと思います。でないと、いつの間にか、何か退屈感が漂って、そこにも気付かなかったりしかねません。

何かを採用したら、何かを得る。同時に何かが消える。どっちが良いかは理性的に考えます。そして、ヨットの判断基準は面白さだろうと思います。とかく便利という言葉に惑わされます。要注意。

最初に何でも設置してしまうという方もおられますが、長い年月において、実際に使いながら、必要と判断した物だけを採用していく方が良いかもしれません。その方が無駄がありませんね。邪魔物は使わなければ良いという事では無く、必要無いなら無い方が良い。

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