第九十一話 関心事

ヨーロッパ人の関心事は自分達の生活にあるのではないかと思います。これに対して、日本人の関心事は、社会的な位置、つまりはこれは殆どが仕事にあるのではないか?第一番目の関心事です。日本人も個人的な生活はもちろん重要ですが、社会にあっての個人。

つまり、仕事は誰でもしなければなりませんが、仕事に対する意識が異なる。昔々ですが、日本では窓際族なる言葉が流行りました。あるフランス人、それは最高の職場で、何もしなくても給料がもらえるのに、何故やめるんだ?この例は典型的な仕事に対する意識の相違を感じさせます。

さて、どっちが良いかなんて事はいえませんが、少なくとも我々は日本人。日本人の意識ですから、仕事は大事です。仕事をほっといて、セーリングには行けませんし、仮に行っても、気になって仕方無い。遊べない。

ですから、我々日本人が、気持ちよく遊べる方法は何か? みんなが一緒に休みなら問題は無い。そうしますと、正月かお盆かゴールデンウィーク、そういうパターンになります。或いは、週末とかです。そうしますと、ロングでどこかにいけるのは、引退後。それまでは、近場という事になります。
1週間休みがあっても、往復と天候を考えますと、そう遠くへも行けません。

ならば、日帰りとか1泊、2泊程度とかをどれだけ面白くできるか?ここに日本人スタイルがある。
つまり、しょっちゅうできる事の中に、充実感を得る事が大事で、年に1回できる事はイベントとして、楽しむ。

そこで考えたのが、日頃はピクニックセーリングからデイセーリングを楽しむ。ピクニックだけでは物足りませんから、セーリングの深さまでを日常にします。そして、望むのなら、年に1回のちょっと遠出をイベント的に楽しむ。あくまで日常が主役です。たまに温泉に行くようなものです。

ですから、日常のピクニックからセーリングを充実させていきます。ピクニックは楽しいで充分でしょう。それだけでは充実感があまりありませんから、セーリングして、セーリングの妙を味わう。意識が深さを求めるようになりますと、飽きる事は無いでしょう。遠くには行かないけれど、深さを求めます。味わいを求めます。

セーリングは半日でできます。往復の交通を考えても、ゆっくり日帰りできます。セーリングの時間の長さよりも、充実度を問います。充実させる為には、集中が必要です。集中は短い時間でしか続かない。丸一日集中するのは至難の技。

関心事はセーリングにおいて、他はバリエーションとしてピクニックしたり、ちょっと遠出したりとイベントとして遊ぶ。前者は面白さの追求で、後者は楽しみです。

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