第五十三話 基本艤装プラス

どのヨットでも、基本的な艤装は設置されています。その基本艤装でセーリングするに、十分であります。ところが、使う側の事情が変わってきました。年齢を重ねて、体力が落ちてきたとか、クルーが転勤しちゃたとか。 そういう事で、基本艤装にプラス何かを加えて、その分をカバーする。そういうプラスアルファーの艤装があります。

かつては、クルーがメインセールをあげてくれたのが、今度からは自分でするとなると、ちょっとしんどく感じたり。これはセールの重量もありますが、スライダーのグルーブをとおる摩擦も大きい。
そこで、この摩擦を軽減するのが、ストロングトラック、スライダーにベアリングが入ったバットカーシステム、他にもあります。これで、摩擦は軽減され、ほとんどセールの重みのみで、かなり楽にあげる事ができます。それに、セールを降す時、ギロチンのようにストンと落ちてきます。いちいち、前に行って、セールを引っ張らないで良い。

メインをあげたら、ジブセール。これはファーリングですから、くるくると引き出して、すぐにセーリングができます。ジブシートのリードブロックの前後調整をするテークルを設置すれば、状況に応じて
リードブロックの位置を変えられます。

シングルですと、タック、ジャイブ、セールの上げ下ろし、そういう時にはオートパイロットが活躍します。でも、通常は自分の手で舵を握るのがよろしいかと。

前記しましたバウスラスターと360度回転するセールドライブで、でかいヨットのマリーナからの出し入れも容易になり、リバーシブルウィンチで、シート操作も楽になる。もう他に何かあるかな〜?

その先どうなるか?と考えますと、ひとつあるかもしれません。それは、すべてのハリヤード、シート等をウィンチを一切使わないで、自分の手で引いて、しかも楽に操作できる方法です。舵を握って、片手で、すべてのシートが楽に操作できるなら、その瞬間の感触も味わえて、しかも機敏に操作できて、この方が面白いにちがいない。でも、現実はウィンチを使います。電動ウィンチなら、ボタンを押せば良いので、楽ですが、でも、それを片手で楽に引いて、その感触が味わえるのなら、もっと面白さがあるような気がします。

電動アシスト自転車というのがありますが、登り坂でも、楽にこいで走れます。そのような考え方で、電動アシストシートとか?すべてのシートが、手元にあって、舵を握ったまま、シートの出し入れが簡単にできる。そうなると面白いですね。

そうすると今度はバッテリーの心配?ご時勢ですから、高性能バッテリーもどんどん開発されていますね。

これは楽にできるというだけでは無く、楽なら、調整を頻繁にしたくなります。しんどいなら、まあ良いやと思いがち。でも、簡単ですから、ついしたくなる。それが面白さになると思います。力の軽減には、ブロックを使って、何分の一とかにできますが、これもどれにも使えるわけではありません。
こういう電動アシストができるかどうかはわかりませんが、少なくとも、ボタン操作よりは面白いと思いますね。

見た目は何も変わらない普通のヨット。でも、シートを引いてみると、何と軽いことか。ジブシートもメインシートも、でかいヨットでも、強風でも、片手でひょい。そんな物ありません。でも、いつか、そういう時代が来ないかな〜?力加減の調整もできればもっと良い。ひょっとして、誰かが考えてくれているかも?

ジェノアのタッキングは面倒だ。ならば、シートを緩めた途端に、ファーリングシステムが、緩めた分巻き取ってくれて、タックして、シートを引いたらまたスムースに出てくるとか?ファーリングシステムには常に卷こうとする力が加わっていて、それをロックしておけば、シートを出しても巻かない。ロックを外せば、シートを緩めた分だけ巻きとる。これじゃ、タッキングも楽勝です。もちろん、こんなのありません。

もう十分何でも揃ったと思いますが、まあ考えたら、いろいろ出てくるものです。ヨットの姿は一応完成に近いかと思います。それで、後は、いかにアシストをしていくかの発展があるのかもしれません。メインファーラーもそうですし、電動も油圧もそうです。別に無くても可能であはあります。でも、それらが、楽にしてくれますし、面白くしてくれます。でも、完全自動化だけは御免こうむりたいですね。今後の進化、基本艤装プラスにどんな物が出てくるか、楽しみであります。

次へ       目次へ