第五十六話 距離の問題

日本が抱える問題としては、自宅からマリーナまでの距離の問題があります。特に関東では、マリーナまで2時間かかるとか聞きます。それでは、なかなか気軽にポンとは行きませんね。あるアメリカの造船所の調査では、日本のマリン事情においての問題として、海岸線が商業ベースが基本になっていて、マリンレジャーにあまり解放されていない事、そしてこのかかる時間の事も書いてありました。

これは個人がどうにかできる問題でもありません。田舎にいけば、こんな事は無いのですが、関東はそういう事情ですから仕方ありません。

でも、物は考えよう、それなら、いっそのこと、田舎に置いてしまえばどうでしょう。車でマリーナに2時間かかる。シーズンの帰り道はもっとかかる。それなら、どこかの田舎において、飛行機で飛んでくる。どうせしょっちゅうは乗れないのなら、年に何回か、バカンス気分で、家族を連れて、まとめて休みを取って遊びにくる。そんな手もあります。

東京に比べたら、年間の係留料金も安くなるし、飛行機代払ってもおつりがくる。おまけに、関東よりもセーリング環境としては良いです。関東が九州のような環境だったら、ヨットはもっと流行るだろうなと思います。

既にそういう事を実行されているオーナーも結構おられます。特に、長崎と沖縄には、関東の方が多い。普段、日常的に乗るという事はできませんが、1週間まとめて遊びにきますと、遊んだなという気が充満するのではないでしょうか?

悪い話じゃないと思います。一考の余地はあるんではないでしょうか?

遠く離れているが故に、楽しめる事もあると思います。それこそリゾート気分で、周辺の観光も含めて遊べます。

ある方、毎年ホームポートを変えるという方がおられました。確か、大阪の方だったと思います。一機に沖縄に行くのは大変かもしれません。でも、その方、年々、南に下がって行かれました。その年は宮崎でクルージングを楽しみ、翌年は鹿児島とか言う具合です。これも面白い考え方ですね。
そして、いつか何年か後には、また北上して、大阪に戻ればいい。気楽なものです。

あるアメリカ人ですが、もちろんアメリカ在住、でも、ヨットはフランスに置いてますとかいう話を聞きました。多分、南フランスあたり?世の中便利なもので、飛行機で飛んで行けばすぐに着く。まあ、海外にまで考えないとしても、東京と九州じゃあ、とっても近い。遠い距離を逆手にとって、もっと楽しんでしまう手もあり。

メインテナンスとか、保管の事とか、地元の業者か、マリーナに頼んでおけば良いんです。そう心配は要りません。それらも含めて、年間経費が安ければ、悪い話では無いと思うんですが?

もちろん、身近においておくのが一番良い事は解っています。でも、2時間とか、それ以上とかになりますと、気分的には身近という感じはしないのではないでしょうか?かえって、もっと遠くなら、気分も違って来るかもしれません?これも一考の余地はあるかと思います。

地元の人は滅多に来ない観光地、でも遠くからは大勢やってきます。遠いからこそ良い、行ってみたいというのは良くある話ではないでしょうか?

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