第九十六話 海外中古ボート

最近ですが、ある知り合いの業者さんが、アメリカから中古を買い付けるお手伝いをしています。アメリカの業者から、ボートの情報を仕入れ、気に入ったのがあれば、それに対してオファーをします。それも、ちゃんとした契約書(文書)でのオファーです。

その文書には、いくらなら買っても良いという金額と、売り手がその金額を受け入れるなら、手付金としていくら払う。さらに、最終的に買うかどうかは何日までに決定する。そこまで書いて、交渉始めの契約をします。

それから、現物を見に行って、OKなら契約、その場での交渉も可能です。この時、最初のオファーより売り手が下げないというかもしれない。その時は契約をやめるも自由という事で、買わなければ、手付金は返却となります。それから、サイベイヤーを入れて、最終的には、その結果を見て、買うか買わないを決めればいい。そういうシステムです。

これは、買い手、売り手、双方にとって、できるだけ無駄を無くそうという事ですね。どちらも、本気で売りたいし、本気で買いたいという意思表示、それを契約で縛っています。さすがに契約社会。
いろんな民族が居るアメリカですから、いろんな考え方をする人達が居ます。それらを全部束ねて、クールにビジネスとして進め、双方に無駄が無いようにするシステムです。

日本ではこうはいきません。それにサベイヤーも居ない。まあ、日本は同一民族で、世界から見たら、ちょっと特殊でしょうから、ある意味、特別に変な人も居ないし、なあなあの世界。逆に、こういうビジネスライクな進め方は、日本では受け入れられないかもしれません。

日本のやり方ももっときちんとすべき部分もありますが、そこは日本流で良いかと思います。しかし、サベイヤーはあった方が良いと思いますね。売り手、買い手、双方の為だけでは無く、我々業者にとっても良いです。後のクレームが無いですから。

ただ、アメリカでは、サベイヤーは第三者的立場で、客観的に調査をする資格を持った人。それも、各サベイヤーの信用問題も問われるので、そこはきちんとやろうとします。もちろん、経費は買い手持ちですから、買い手がサベイヤーを雇うかどうかを決める事になります。日本だと、この経費が問題になるでしょうね。

先進国のシステムは見習う事も多いですが、でも、そのままのシステムを日本で受け入れるというのは、どうかと思います。日本も、きちんとしたシステムは必要ですが、それは徐々につくられるものかと思います。そういうシステムを作った業者が、信用を得て生き残っていくとか。日本は、まだまだこれからです。

車なら買い取って、店頭に並べておくとか、そういう事もできるかとは思いますが、何せ、ヨットの場合は経費が掛かり過ぎるので、そうもいきません。そこまで経費かけてやっても、アメリカのように数多くは売れない。

やはり、アメリカがきちんとしたシステムを構築できたのは、マーケットが大きいからかもしれません。そうは言っても、日本も、ちゃんとしなくちゃ。そう思いますね。売り手も買い手も、そして業者も安心できるようなシステム。それが望まれます。

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