第三十四話 円高

もう何年前だったでしょうか、1ドルが78円代か、79円台になって大騒ぎしていたのは? でも、この最近の円高は慣れてしまったのか、他にも大事件があるので、あまり騒がれない。お気づきかと思いますが、1ドルは78円代になっています。市場ではです。

実際に銀行送金なんかする時は、銀行の利益が入りますので、それがTTSと言われる送金レート。それでも、昨日では1ドルは80.27円です。ヨットはいろんな資材の値上がりや、人件費の値上がりで、毎年のように値段が上がります。でも、この円高で、帳消しどころか安くなってきています。
日本の景気が良ければ、どんどんヨットも売れるんでしょうが、まあ、これは仕方ない。個人ではどうしようも無い事です。

円高になりますと、日本にとって不利と言われますが、本当にそうなんでしょうか?多くの資材を輸入に頼らざるを得ない日本、円高は日本にとっては有利に働きます。輸出で食ってる日本という側面も確かにある。でも、輸入で食ってる面もある。日本全体を見た時、どっちの割合が多いか?
他に大事件が無いと日本中が円高で大騒ぎしますが、今は原子力発電所の放射能の問題もあるし、なでしこジャパンの事もあるし、それに長い円高でマスコミも飽きちゃったのかな?

兎に角、今は円高です。輸入には有利です。一年前の7月21日に為替相場では、TTSで1ドル
88.25円でした。つまりは、一年前より7円98銭の価値が上がっています。今は、この時より10%も輸入品が安いという事になります。石油も食料品も、何でも、米ドル決済なら10%安い。

一方、ユーロはと言いますと、昨日の1ユーロのTTSは¥113.75円、1年前は¥114.01円
でした。あまり変わってはいません。という事は、米ドルのひとり安?

ヨットの輸入を仕事にしていますので、為替レートは気になります。でも、気にしても仕方がない。どうしようも無いわけで、ただ、為替で損はしたくない。為替で儲かる必要も無い。そこで、当社では米ドルのままで販売しています。

お客様にとっては、銀行に行って、米ドル口座を作って、そこにヨット代金のドルを入れておけば、
将来の為替レートの変動に関係なく、為替を固定する事もできますし、或いは、この先円高がもっと進むと思えば、日本円のままでも良い。どちらでも選択できます。それで、当社としては、日本円以外、米ドルの口座も持っていますし、もちろんユーロの口座もありますので、円でもドルでもユーロでもお支払いを受ける事ができるようにしています。その方がフェアーじゃないかと思います。

まあ、それは兎も角、為替レートが昔のように、1ドルいくらと固定相場制になったら、やきもきしなくて良いんですがね〜? でも、そうなるとビジネスで儲けられない人達が出てきますから、そうはならない。それが現実であります。お金を売って、買って、儲かる? 何の生産性も無い。でも、そういうビジネスが大規模に行われる。実質の経済よりもはるかに大きくなっているらしい。そして、その影響が実質経済に影響を与えます。何だか、納得いかない話です。でも、それが現実です。

誰もが為替に無関係とは行きませんが、あまり気にしても仕方がない。相場を読むなんてできませんから。いろんな方々が、努力して、物造りをして、それでも、為替で大きく左右される。有利にも不利にも働く。これらは、我々の努力以外のところで影響を与える。誰もが何らかの影響を受ける事になります。でも、仕方がない。そういうシステムですから。それで、ドル決済としています。

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