第七十七話 アルゴリズム

詳しい事は知りませんが、コンピュータープログラムなんかにも採用されるものらしく、簡単に言えば、あるテーマを元にデータを、客観的に判断して並べ替えるようです。新しいデータが入ったら、次々に並べ替える。客観的な判断による、臨機応変な考え方というのかな?

こういう考え方は、コンピューターに限らず、ありとあらゆる場面で使われます。セーリング中に、風が変わる。それにセールを合わせる。或いは、舵を合わせる。どちらを合わせるかは、テーマが何であるかによります。そこには客観的な観察のみがあります。レーサーはそういう判断なんだろうと思います。次々に変化するデータを観察し、テーマに基づいて調整していきます。

ところが、レースでは無いセーリングにおいては、客観的な観察は重要ですが、必ずしも、そのデータに従うとは限りません。その時のテーマにも寄ります。より早くあるポイントまで行くのがテーマだった時は、同じでしょうが、そうでは無い場合もあります。

客観の反対は主観です。フィーリングはあくまで主観です。主観はコロコロ変わる。あそこまで早く行こうと考えても、その時の風によって、ちょっと良い感じで走っているなら、その瞬間のテーマが変わります。アルゴリズムのテーマがフィーリングに変わると言っても良いかもしれません。今、変針すべきなのだが、今、非常にいい感じで走っているとするなら、それもあり。テーマはどんどん変わります。

そこで、その都度の瞬間のテーマを意識しておきます。角度なのか、スピードなのか、フィーリングなのか、今、この瞬間はこれ、という具合に。テーマが決まれば、すべき調整も決まる。そういう乗り方は、何となく走るのとは違います。テーマは何でも良い。ゲストが居るなら、ゲストをもてなすのがテーマという事もあると思います。

アルゴリズムはテーマを明確にして、次々に変化する状況に合わせる事と解釈します。ゲストがひとりの場合、二人の場合もありますし、それ以上もあります。それによって違う。みんな自然にそういう動きをするんでしょうが、敢えて、テーマを意識して、どういうセーリングをするかを決めます。よし、今日はこれで行こうと決めても、途中で変える事もあります。

意識しますと、そのテーマで必要なデータを意識的に集める事になり、その結果、より良いセーリング、目的に近づくセーリングとなるかもしれません。後は、腕次第ですが。テーマを持つと、腕の無さを感じたりします。それがまた、向上の要因でもありますね。

テーマは何であれ、意識的に行う。その意識に応じて、客観的なデータを入手する。その為には観察が必要になる。その観察したデータを取り入れて調整し、再び観察して、次々に調整する。最も大事なのは、客観的なデータ、つまりは観察力という事になりますね。

そんなこんなしながらセーリングしていたら、上手くならなわけが無い。セーリングはつい何となくしてしまいがちかもしれませんが、そこにアルゴリズム的意識を持つ事で、質は変わっていくのではないでしょうか?何となくでは、その時の風や波の状況次第で、楽しかったり、つまらなかったりになります。良いセーリングを体験しても、それは向こう合わせのセーリングです。向こうの都合によるものです。ですから、それをどうにかしたい。

風や波の都合を排除する事はできませんが、服従ばかりでは自由がありません。それで、主導権を取り戻す為に、アルゴリズム的意識を持つという事であります。風が弱くなったら、弱くなったなりに、強くなればそれなりに、その時のテーマを持って、意識して、それをいかに捌くか?
意識するだけでも良いんじゃないかなと思います。状況が変わったのに、テーマは同じままでは、つまらないセーリングになるかもしれません。否、テーマさえしっかりしていれば、それなりのセーリングは体験できます。ただ、状況の変化についていけないんですね。ですから、その時々の状況を見極めて、意識的テーマを持つ。変えても、変えなくても。意識さえしっかり持てば、状況の変化、つまりは、風に主導権を握られる事は無いのではないか?

アルゴリズムというものが、ここで正しい解釈をしているのかどうかは解りませんが、解らないながら、自分勝手な解釈していますので、悪しからず。

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