第一話 点と線

楽しい場面を想像して、クルージングやセーリングに出る。それは点です。その点においては、楽しい事も、スリリングな事も、いろいろあります。でも、それは点です。その点が無数に集まって、長い線となります。つまり、我々は点の事を考えますが、それは同時に線を形成する一部という事になります。ある目標を達成しても、それは点として、線の一部であります。

だれもが思うのは点であり、その点は飛び飛びとなり、その点は滅多に思い通りにはなりません。
誘った友人の都合が悪かったり、天候が悪かったり、いろんな条件がつきます。ですから、点としてだけ見ると、それほど良い事ばかりでは無い事に気づきます。

ところが、それら点が集まる線として見る時、これは違う様相を表します。点を秒単位にまで分解してみますと、瞬間瞬間で変化しており、分単位、一時間単位という見方をしますと、また違います。、その変化に重要度をつけますので、点は強弱として認識されますが、長い目で見ていくとき、線を見ていくとき、何らかの瞬間の変化では無く、緩やかな進化という変化が見られます。

簡単に言えば、上手くなってきた。より多くの経験をしてきた。いろんな発見をしてきた。いろいろあります。我々は目的とする重要な点より、むしろ、何気ない、重要度の低い点の方が圧倒的に多い事に気づきます。そこで、点のみならず、線として、流れがどう変化していくのか?点は楽しい、面白い、しんどい、怖い、いろいろあります。しかし、線で見る時、その流れがどういう風に流れていくのか、点に何があろうと、その線において、面白さを感じる事ができるのではないか?

今日は楽しかった。今日は雨だった。今日は強風で出せなかった。いろいろ点の状況がありますが、それらを全部含めて、流れとしてみていくと、そこに面白さがある。それを面白くする必要がある。だから、点の目標と線の目標が必要かもしれません。

点はいろんな環境に影響されますが、線は全部の点の集合体です。それは多分に意思によるものではないかと思います。ある楽しい場面を想像したりしますが、それらは点であり、多分に我々は点としてしか見ていないのではないでしょうか?それは点であると同時に、プロセスの一部、線の一部ですから、線をいかに創造していくかは重要な事ではないかと思います。

点は思い通りになりませんが、我々は線を思い通りにする事は可能ではないか?今日は、いろんな都合で乗れないかもしれませんが、線としては、どうにかなるのではないか? その線において、いつか、日本一周するぞとかいう想像は、これまた点に過ぎません。いつか未来における点です。線を創造するという事は、流れを創造する事であり、それに比べたら、点の重要度は低いのかもしれません。

いつかの未来の点としての目標は、何が何でもという強いものでは無くても、ぼんやりでも構わ無いのではないか?それより、点を創造し、線を創造し、流れを修正しながら、線を創る事を考える。
その先に、未来の目標を達成するかもしれないし、しないかもしれない。しかし、線を修正しながら進むと、目標は変わるかもしれない。変わっても良い。

点を最重要視する事が多いですが、同時に線を考えて、今シーズンをどうするか、そして、2,3年単位ぐらいの線をどう見ていくか、その先はどうなるか解らないものです。解らないものはほっといて、今日の点と、今シーズンのちょっと長い線と、さらに2,3年ぐらいの線を見ながら、自分のヨットライフを創造していく。もっと、長い先は解らない。同じ目標を持ち続けるかも解らない。

何をするにも、いろいろあります。良い事も悪い事もあるのが当たり前です。そこに一喜一憂するよりも、線としての面白さを創造しながら、今日の点を遊ぶ。そうしたら、今日がどうであれ、線をぶち壊す事は無いのではないでしょうか?結局、瞬間の味わいと流れとしての味わいを、両方見ていく事になります。出すだけでもドキドキした時から、どんどん上手くなって行き、いろんな知識が増え、いろんな発見があり、いろんな場面を経験するという集積された線は、面白さ以外何ものでも無いのではないでしょうか?否、それをどう面白くするかという為にも、今日はどうするかという事になると思います。

今日が雨でも、強風でも、無風でも構わない。吹けば吹くように、吹かなければ吹かないように、でも、線としてはきっと面白さを得られるようになると思います。でも、少なくとも、その為にはヨットに関わる事は必要かと思います。点としての味わい、線としての味わい、点は大きな変化、線は緩やかな変化、両方を見ながら進む事で、ヨットライフを創造していくというのは如何でしょうか?線を見れば、点を余裕で見る事ができるのではないかと思います。何しろ、点に過ぎないのですから。でも、その点の味わいもその瞬間では十分に味わいます。

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