第十一話 メインテナンス

気持ち良くワンシーズンを過ごす為には、メインテナンスが欠かせない。シーズンの始まりに、あっちこっち点検してスタートする事になります。船底塗装、ジンクの交換、エンジンオイル、フィルター、ベルトの緩みとかインペラ、漏れは無いか、錆びは無いか、等々。

この際ですから、使わない私物等を、キャビン収納から引っ張り出す事もお薦めします。荷物は軽く。それから、船底のバルブがちゃんと動くか? その他の装備品も同様に点検して、必要なら交換、錆びがあれば落とし、シーズンのスタートを気持ち良く。

そして何といっても、掃除ですね。掃除するだけでも、かなりスッキリします。ついでに、シート類も、必要あれば交換しておいた方が使い易い。固くなったシート、カビが生えたシートなんかも時々見かけます。小ぎれいになったヨットを見ると、気分も良くなり、これから始まるシーズンを、気持ちよく過ごせます。毎年、シーズンスタート時には、これらのメインテナンスを行うようにした方が良いと思います。

これらは一種の儀式みたいなもので、さあ、これからシーズンが始まるぞ、という気持ちのけじめみたいなものでもあります。各整備をばらばらに行うより、スタートの儀式として一挙にやってしまう。すると気分も新たに、シーズンを迎えられるのではないでしょうか?

デッキ上のチークには、ちょっと手間がかかります。ニス塗装をしているのであれば、まだきれいな状態なら、軽くサンデイングして、2,3回塗装しておきますと、ずっときれいでいられます。チークデッキは、ブラシで磨くと、手っ取り早くきれいになりますが、表面の繊維以外の柔らかい部分を取ってしまいますから、ゴミがたまりやすくなり、すぐに汚れます。ですから、台所のスポンジの裏にグリーンの部分が良くありますが、あれなんかで、チーククリーナーなんか使って磨くと良いと思います。もし、既にチーク表面が荒れているようなら、一度、サンダーで削って、表面をきれいにする事をお薦めします。そして、お好みですが、セトルマリンなんかを塗装しても良い。これはチークが濡れたような色合いになります。

その他、カバー類の破れとか、ボタンが取れてるとか、そういう事もついでに修理して、良いシーズンを迎えられるようにしておきたいものです。ヨットにとって当然良い事ですし、自分にとっても、気持ちが良くなりますし、自分でできるだけやれば、それだけ自分のヨットの事が良く分かりますし、この先、何かちょっとでも異変があったら、より早く感知できるのではないかと思います。そうしますと、大事に至る前に対処できますから。

装備がたくさんあれば、あるほどにメインテナンスが必要になります。ある物はちゃんと動くようにしておく。壊れたままに放置しますと、いつの間にか錆びだらけで、回りを汚してしまいます。もし、そうなら、撤去した方がましですね。エンジンルームもきれいにしておきますと、一滴のオイルが漏れただけですぐに発見できます。

シーズン始めのメインテナンスは、自分の気持ちのメインテナンスでもあるかもしれませんね。新たなシーズンをどう迎えるか?大事な事ではないでしょうか? 特に、見えない、隠れた場所に設置してある機器類は、こういう時にこそ、きっちり点検しておきます。誰でも分かっちゃいる事なんでしょうが、実行されるヨットは少ないようです。

全部自分でやれるなら、これに越した事は無いと思いますが、無理なら、業者にやってもらう。費用はかかりますが、でも、これは必要な事。新しいうちはまだ良いとしても、古くなればなる程、メインテンナスをしてきたかどうかは大差になります。それに自分の為ですから。

それにステイ類ももちろん点検して、もし緩んでいたら、一緒にチューニングもしておきましょう。ワイヤーは緩みます。

今日の一曲 パバロッティ CARUSO

次へ        目次へ