第三十六話 セールプラン

最近、デイセーラーで無くても、セルフタッキングジブが少し人気があるように感じます。扱いが簡単になりますからね。セルフタッキングジブとまでは言わなくても、105%程度のジブの設定は増えているように思えます。

そうしますと、通常のセールプランで、小さなジブにしますと、セーリングが遅くなる。クルージングを楽しまれる分においては、それも良いかもしれません。しかし、セーリングも楽しみたいという方には、やっぱりセールエリアが小さくなると、ちょっとストレスになるかもしれません。

それで、通常はメインセールを大きくします。ところが、問題は、メインが大きくなりますと、当然ながら受ける風圧も大きくなります。そのメインシートを引くに、ブーム中央からでは、ますます大きな力が要求されますし、強風では、へたするとブームを破損しかねない。という事で、メインを大きくするなら、ブームエンド近くから、メインシートを取った方が、扱いやすいし、安全でもあると思います。

スウェーデンのアルコナヨット。当社で唯一のハイパフォーマンスクルーザーですが、標準セールプランは105%程度のジブです。しかも、サイドデッキより内側にジブのトラックを設置していますので、より引き込める。それで、上り角度が良くなります。通常はこれで十分。もし、レースに出たいという人は、望めば通常のジェノアを設置する事ができるようにもなっています。

メインシートはもちろん、ブームエンドから取ります。これが、最近のハイパフォーマンスクルーザー(別名、レーサークルーザー)に多いセールプランです。通常のクルージングにおいても、こういうヨットの方が、クルージングばかりか、セーリングも楽しめて良いのではないかというのが、私の考え方です。内装はクルージング艇に劣らず充実しています。

ちなみに、このアルコナヨット、CE規格のA オーシャンを取得。波高7m、風速28mの中で、5日間以上の単独航行をする事ができるというものに合格しています。でも、本格外洋に行くなら、もっと重いヨットで、船底が鋭角で、柔らかい方が楽でしょうね。足は遅くなりますが。これも考え方次第。

何週間も連続して海の上なら、そういうヨットが楽ですが、数日で、どこかに到着というのであれば、足が速い方が良いかな。ですから、外洋と言ってもいろいろです。

  メインシートはブームエンドから。クルージン
  グ時でも、そんなにシートが邪魔になるとは
  思えないのですが?
  ジブは106%で、内側のトラックに引き込ん
  でいます。




   内装はマホガニーを多用しています。

   そして、船体はバキューム/樹脂インフー
   ジョン工法。








但し、セーリングを重視しますと、コストがかかります。軽く、硬く、バラスト比も高く、それはどうしても避けられないです。

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