第十二話 キャビン考察

ご存知の通り、最近のクルージング艇は非常にキャビンが広いです。私が見るに、この広さは、最大のマーケットである欧米人がヨットに寝泊りするからではないかと思います。キャビンでの滞在時間が長くなればなる程に、キャビンは広い方が良いという事になります。

日常的な別荘的使い方や、クルージング先の宿泊、そういう時にこそ、大きなキャビンは重宝すると思います。何しろ、どこに行ってもホテルに行かないで済みます。

しかしながら、その大きなキャビンは欧米人スタイルの要求において造られてきたのではなかろうかと推測していますが、もちろん、日本マーケット向けでは当然ありません。多くの場合、もちろん全部ではありませんが、日本ではヨットに泊まる方々は比較的少ない。それは別荘としても、旅先の宿泊にしてもです。もちろん、地域的な違いもあるとは思います。しかし、全体的には、やっぱり日本人スタイルでは無いように思います。

ですから、大半の方々にとって、それ程大きなキャビンは必要無いのではなかろうかと疑問に思ったりします。その大きなキャビンがあるからこそ、重心は上がるし、風圧面積も広くなるし、キャビンを楽しむ以外に、あまりメリットは無いのではなかろうか?

これによって、セーリングが疎んじられる事になり、セーリングの味わいは違ってきます。よって、クルージングの旅を楽しむにキャビンが必要ならば、ハイパフォーマンスクルーザーの方が使い勝手は高いと思う次第です。そして、キャビンは重視しないというのであれば、デイセーラーという風に考えます。そうしますと、何が良いかって、セーリングの探求をして、より面白さを得る事ができるからだと考えます。

キャビン不要論ではありません。キャビンはほしいです。でも、そんなにでかくなくても良いというだけです。それよりセーリング性能を重視した方が良いのではないか?冷蔵庫あって、温水があって、シャワーが浴びれて、ガスコンロがあって、オーブンまである。それらは使いようによってはとっても役に立ちますが、使わなければ意味が無い。それどころか、メインテナンスも要求されて、気を配る必要もあります。

必要な方にはもちろん必要です。ただ、使わない方も、大きなキャビン重視という意識を持ってある。ここは一考の余地有りではないかと? でかいキャビンが多い時代、こういう事を言うのは難ですが?

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