第二十四話 探究心

これぞ最大の面白さを得る原動力ではないかと思います。ある事に興味が湧き、それを探求していく時、夢中になります。日本人は、その探究心が旺盛なので、それで今日の日本を作り上げる事ができたのではないでしょうか? それが我々のDNAであります。 良いも悪いも、そういう民族なんですね。

日本人というのは、遊び下手と言われますが、それは何事に対しても、探究心が芽生え、真剣に取り組む気質があるからではないか?そこに喜びを感じる民族なのではないか?
ただの快楽に対しては、何らかの後ろめたさを持つ文化なのではないか? だから、しょっちゅうは遊べないのではないか?いわゆる、息抜きとしてしかレジャーを楽しめない。ヨットをレジャーとして捉える時、ほんの息抜きとしてしか楽しめないのではなかろうか?遊び人という言葉に、一種の差別感を感じるから。

昔ですが、南米に行った事があります。そこには石油もあり、食料もあり、天候は四季が無く、殆どが秋のような感じ、昼間は半袖、夜になると、ちょっと肌寒い。そんな感じでした。そういう恵まれた環境なのに、豊かでは無い。そういう国は少なくありません。

あるフランス人が、昔流行った言葉、窓際族の事を聞いて、羨ましいと思った。仕事しなくて、給料もらえるんですから、まるで天国。でも、日本人には耐えられない。

ぶつぶつ文句言いながら、仕事帰りの居酒屋で仕事の話をする。それが日本人であります。仕事が好きというよりも、自分がしている事に夢中になる。探究心だと思います。それが自分自身の充実感を得る手段なんだろうと思います。自分がしてる事を愛し、それに努力し、向上する。そこに日本人としてアイデンティティーを見出すのかもしれません。

つまり、我々が、本当に充実感を得たいなら、そこに探究心が芽生えるかどうか次第ではなかろうか?遊びというひとつのジャンルに対するある種の偏見が、探究心というものを芽生えさせない要因かもしれない? 日本人的社会人という自覚が、遊びに夢中にさせない要因になるかもしれません。 でも、それは捉え方の問題です。ヨットはレジャーでは無く、趣味ですと宣言します。どうせやるなら、夢中になった方が良い。仕事も遊びも夢中になった方が、充実感が得られます。

だから、日本人のスタイルは探究心を持って、自分が設定したテーマに対し夢中になった方が良いと思います。ただ、夢中になれるかどうか? それは、ヨットはレジャーでは無く、家族サービスの為では無く、自分の個人的趣味ですと宣言する事では無いでしょうか?下手にファミリークルージングなんか考えない方が良い。結果的にするのは良いんですが。

趣味として考えれば、面白さを得たいと思います。ウキウキしたり、エキサイティングであったり、スリルであったり。釣りに行ったり、ゴルフに行ったりするのと同じです。求めるのは、快楽では無く、ある種の興奮なんですね。だから、夢中になれると思います。探究心が生まれます。

遊びに夢中というと、社会は遊び人と呼びます。でも、趣味に夢中といいますと、ちょっとニュアンスは違います。社会も許してくれる。だから、ヨットに夢中になる自分も許せます。単なる遊びじゃないんですから。

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