第一話 セーリングの目的
| 何かをするには、何らかの目的があります。その目的はクルージングにしろ、レースにしろ、明確です。だからこそ、ヨットは大きくこの二つに分類されてきました。そして、これ以外を単なるピクニックと言った。でも、私は、このTALKを通じて、従来とは異なるセーリングの目的をお薦めしてきました。純粋な遊びにおけるセーリングの本来の目的とは何かと考えてきました。 その答えがセーリングを通じ、セーリングから得られるフィーリングにあると書いてきました。クルージングにおける移動とは違いますから、真剣にやります。この真剣さはピクニックとは当然違いますし、またそれに応じるような性能を求めます。また、レースとは違いますから、慌ててやる必要は無い。スピードは求めますが、でも、勝つ事がテーマでは無く、より洗練されたセーリングから、ヨットとの一体感や、自由自在感、そしてグッドフィーリングを得るという事です。 その為には練習も必要と書きました。初心者は初心者のセーリングで面白さを感じます。それ以降は、そのレベルを徐々に上げていき、より上質のセールフィーリングを感じていこう、そういう世界を自分のものにしようという事です。初心者の時はそれでその面白さを感じますが、それ以降は、全く別次元の面白さを求める事になると思います。 タッキングするにも、慌ててやる必要は無い。しかし、動きは滑らかに、無駄無く、舵とシートのタイミングをピッタリ合わせられるようになれば、それは肉体的にも楽にできる。しかし、それは簡単では無いかもしれない。だから、そこには、観察し、考え、タイミングを見計らい、無駄の無い動きをしなければなりません。それができればかっこいい。 ありとあらゆる場面において、無駄の無い美しい動きを求めつつ、その上達していく過程から、より良いフィーリングを得ていこう。それがセーリングの目的です。それは言い方を変えれば、美しいセーリングを目指すという事になります。 セーリングにおけるフィーリングこそが、最大の目的です。ですから、良いセーリングをしたい。セーリングから加速感や滑かさ、スピード感はもちろん、ありとあらゆる感覚から、より良いフィーリングに洗練していこうという事になります。 実際、セーリングしていて、滑らかさを感じますと、実に気持ちが良い。ふっと加速感を感じますと、おおっと感じる。快走していると、自分が集中している感じがまたたまらない。舵に伝わる感じが敏感に感じれる。無駄無く、タッキングやジャイビングができると、それが嬉しい。何も、競争しているわけでは無いが、ありとあらゆるフィーリングが、そこにある。それをもっと上質にしていこう、それを目的として楽しもうという話です。 このTALKの初期の頃に書いたと思いますが、セーリングからしびれるようなフィーリングを得る事があります。これは何とも言えない最高の気分です。この気分はレースで勝つ気分とは違うでしょう。セーリングそのものをフィーリングを主たるテーマにしている事によって、勝つ為では無く、最高の気分の為です。勝利のトロフィーは無いが、何とも言えない良い気分があるんですね。それを求めようというのが、セーリングであります。 スピードを求め、自由自在を求め、その結果、やった人にだけ味わえるグッドフィーリングがある。ですから、デイセーリングと言っても、奥が深いし、ピクニックセーリングやデートセーリングから、真剣セーリングまで、メリハリをつけてセーリングを楽しんで頂きたいと思います。 |