第十話 格差問題

世界中に格差が問題となっています。しかし、この格差は経済の問題だけでは無く、他にも及んでいるようです。例えば、若者です。ちょっと前の事ですが、大学の先生にお伺いした話ですが、最近の学生気質にも格差が広がっているという事でした。

例えば、勉強する学生はすごく勉強するらしいのですが、しない者はちっともやらない。スポーツも同様で、プロを目指すのか、というように頑張る学生も居るが、まったくしないのも多い。要は、中間層が少ないそうです。なるほどね〜。

そう言えば、ヨット界も同じかもしれません。若者ばかりでは無いかもしれない。ヨットレースに一生懸命なオーナーもおられますし、レースは基本的にはしないが、セーリングをスポーツとして、自分なりのセーリングを楽しんでおられる方もおられます。しかし、その一方で、全く動かないヨットも多いのも事実です。この様な極端な例が多いようです。

経済格差は資本主義である以上、自由化が進めば進む程に、格差は生まれる。当たり前ではないかと思います。でも、学生気質や、ヨット界の格差は何故生まれるのでしょうか?

一生懸命ヨットやっている人達というのは、そこに何らかの面白さを得ているからだと思いますが、その面白さを得るには、最初に何らかのきかっけが必要でしょうし、そのきっかけを造るにも、取り敢えず自主的な行動が最初に必要ではなかろうか? そこのきっかけを掴むかどうかかもしれません。いずれにしろ、最初の行動は必要で、初期段階で、やる気を起こしたかどうか、つまり、最初は誰でも練習するんですが、その後、もう一歩踏み出すか出さないかではないかな〜と思います。

ですから、なんらかのきっかけさえ掴めば、本当はまだまだ多くの人達が、もっと遊べるのではなかろうか? もうひとつは、そんな状況でありながら、ヨットがでかくなりすぎたかもしれません。昔は30フィートと言えばでかい方で、いつかは30フィートという事も言われました。しかし、その後、サイズはどんどんでかくなって、これはきっとバブルの影響が大きかったかもしれません。でっかいヨットが珍しくなくなって、30フィートを遥かに超えてしまった。

周りを見渡すとでかいヨット、そうなら、自分もそれが当たり前と思う。でも、実際に動かしてみると、風で流されたりしますから、マリーナからの出し入れさえうまく行きません。それが小さいヨットなら何とかなったかもしれませんが、でかいとそうは行きません。誰か仲間と乗る時は出せる。しかし、仲間が来ない時は出せない。そういう現象もあります。そうやって、気軽ではなくなり、本当のセーリングの面白さを知る前に、動かなくなってしまったというのもあるのではないでしょうか?

一旦大きくなってしまったヨットを、今更小さくするという事が、簡単なようでできない。そこにも問題があります。実際、どれぐらいのサイズが自分にとって気軽に遊べるのか? うまくなろうとする意思と不慣れでも、練習してうまくなろうとする勇気がある人は、それでも何とか克服していくのでしょうが、うまくいかない人達もおられる。サイズは大きいのが楽とか、いろいろ言われますが、やっぱり自分の合うサイズというのが各人にあるんだろうと思います。

それが最近はジョイスティクとかで、誰でも簡単に動かせるようになってきました。でも、それらは
50フィート前後とかです。やっぱり中間層はなかなか簡単じゃない。30フィートでも動かせずにやめてしまった人達も居ます。

今、簡単に動かせるのは、小さなサイズか、ジョイスティクがついたでっかいサイズかもしれませんね。そんな中で、クルージングとか、スポーツとか、そういう事を言いましても、現実が追いついていっていないかもしれません。

見栄もあるかもしれない。ステータスもあるかもしれない。しかし、気軽に楽しめるというのは重要ですから、自分なりのサイズというものを、周りを気にせずに、考え直した方が良いかもしれません。そうしましたら、クルージングもスポーツセーリングも、本当のヨットの面白さを手に入れられるかもしれません。そうしたら、一旦それを手にしたら、そこからもっと発展できるかもしれません。

格差という言い方はピッタリでは無いのですが、人には気持ちの違いがありますから、最初からそこそこでかくても、どんどん乗り越えていく人も居ますし、最初は小さなヨットから初めて、徐々に発展していく人も居ると思います。だから、自分に合ったサイズといのがあると思います。そのサイズは将来はもっと大きくなるかもしれないし、小さい方が良いと思うかもしれない。どっちでも良い。気軽で、心地良さを感じらるのが一番良いかと思います。

つまり、ヨット界の格差は、自分スタイルができていないからだと思いますね。例え、ピクニックでさえも、気軽に出せないと困ります。逆に、気軽に出せるなら、ピクニックでも良いのかな〜、今はまだ?

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