第十八話 異端者?

ヨットに対してセーリングしましょうというのは普通の言葉です。ヨットにとって普通の言葉を普通に申し上げている次第です。ところが、どうもそれが異端的に聞こえる? セーリングをしょっちゅう楽しんでおられる方にたいして、セーリング好きなんですね、という言葉は変に聞こえないか?

当たり前でしょう、だからヨット買ったんだからと言いたいわけですが、現実はそういう事では無いらしい。ヨットにおけるセーリングは主では無いらしい。では、何が主なんでしょうか? 各人各様に楽しんでいるならそれで良いわけで、セーリングしなくてもちっとも構いません。でも、特になにが楽しいというわけでは無いとか、あまり使っていない人とか、そういう方々には、セーリングしませんか、とお誘いをしたいわけです。

舵の本を読んでも、内容はレース関係かクルージング関係、そこにレースでも無い、クルージングでも無い、ただのセーリングというのは無い。それゃあそうですね、どうやってそんなもん記事にできるの?という処でしょうか? あまりにも当たり前すぎて、記事にならないかもね。

その記事にもならないセーリングを、なんだかんだ書いてきたのがこのTALKでありまして、偏向とマイナーのオンパレードではありながら、内心は、本当はとっても基本的な事かと思っています。セールがあるんですから、セーリングする。ただ、あまりにも当たり前過ぎて、記事性が無いというのは解ります。でも、記事性があろが無かろうが、その当たり前を何とか楽しめるようにできないか? 

レースよりも手軽で、クルージングよりも手軽なら、最も手軽であります。しかも、セールが付いているならどんなヨットでもできる。場所はホームポートを出てすぐ目の前、時間はだいたい2,3時間程度、お手軽でしょう?ホームポートから1,000Km離れていようが、すぐ目の前だろうが、海は海。同じようにセーリングができる。しかも、1,000Kmも移動しないで済みます。そこで、楽しむセーリングは同じなのであります。

この異端的セーリングを、気軽に楽しむ為に、最終的にはスポーツ感覚を取り入れましょうという話で、最初はピクニックで楽しむ事でスタートして、それから時に真剣セーリングを混じえる。真剣と言っても、レースじゃ無いから、自分の頭と感覚で、セーリングゲームをする。何といっても、気軽にマリーナに来て、さっと出して、スイスイ走ってくる。それだけであります。しかし、この手軽さが格好良いじゃないですか? こなれた動きで、ちょいと出してくる。そんな気軽さがあるからこそ、短い時間でもできる。これからの夏なら、サンセットセーリングが気軽にできる。しかも、ただのピクニックセーリングから、真剣スポーツセーリングまでこなせる。

セーリングは決してレースである必要は無いし、クルージングである必要も無いと思います。走らせる事自体、走っている事自体から、様々なフィーリングを得、楽しみ、グッドフィーリングを目指して走らせる。それだけでも十分にセーリングのあるべき姿であると思います。

でも、やっぱり記事にはなりにくいですね。でも、あるオーナー、週に三回はセーリングに出られます。もうセーリングが面白くてたまらない。ああしよう、今度はこうしよう、あそこはこうした方が良いかな? いろいろ考える。それがまた面白いし、楽しいんでありますね。 ここで言うところの異端者かもしれませんが、私から見ればすごくまっとうに見えます。

あまりたいそうな事は考えずに、もっと気軽にセーリングに接する事で、ヨットは身近になりますし、セーリングは散歩や軽いジョギングや、ちょっと気合いの入ったスポーツにもなる。自転車にもなるし、スポーツカーにもなるという処かな? 私、異端者ですから、レースやクルージングより、こっち方が気になってしょうがない。

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