第二十八話 遊びのソフト

ヨットの性能もさることながら、それを使う我々側がどんなソフトを持っているか? それはとっても大事な事であります。たいていの遊びは、ハードはおろか、ソフトまで供給してくれます。それで、何も考えずに遊ぶ事ができる。至れり尽せりの状況です。だから、こちら側が何も考えないで良いものですから、創造力が衰えてきているかもしれません。創造力よりも、その備え付けのソフトがどうなっているかを解明する事の方が忙しい。

ところが、ヨットときたら、ソフトはオーナー任せです。セーリングするというソフトは一応はあります。でも、それだけでは、走る事はできても、それが面白いレベルにまでいくかどうかは、オーナー任せなのであります。だから、セーリングは極めて自主的な遊びになり、遊べる人と遊べない人の格差は非常に大きくなります。

そこで、少しでも遊べるようにと、いろいろ考えはしますが、なかなか決め手がありません。そのソフトのひとつとしてデイセーリングを強調してきました。でも、これも、その中身を充実させて行くには、さらにソフトが必要になる。

最近、そのソフトのひとつとして、超小型の防水ビデオカメラを取り上げました。これは結構面白いと思います。ピクニックにしろ、真剣セーリングにしろ、家に返って、その日のセーリングを酒でも飲みながら、もう一度楽しむ事ができます。場合によっては、自分のセーリングを客観的に見る事もできるし、またみんなで宴会しながら楽しむ事もできます。使い方はいろいろです。これも、ソフトの一つだろうと思います。その他、宴会もソフトでしょうし、友達を誘う、家族等々を誘う、飲み食いもソフトだし、ゲストにセーリングを教えてあげるのもそうだし、いろいろあります。しかし、これらはみんな外部のソフトを追加したものです。

これらもヨットを楽しむ為に、どんどん活用したら良いと思いますが、でも、やはり、自分の内部から出てきたソフトというのがあれば、最強ではないかと思います。それは、もっと知りたい、もっと上手くなりたいという処から出てくるものではないかと思います。これは、ヨットゲームを上昇方向に向かわせる事になります。

知れば、なるほどと面白いし、上手くなれば、気分も良くなる。では、どう上手くなるのか? 舵の取り方、タッキングのタイミング、ジャイブもそうで、それらが、滑らかに、最小限の労力で、しかも楽にできる。それはいい気分だと思います。ヨットと体にフィット感を感じる。さらに、セールの状態を知るとか、それをどうトリミングしたら良いかとか、海面を見てどこに風があるとか、海域の地形による風の変化とか、深さとか、自然変化とか、また、コースの取り方とかもあります。追っていけば、きっと次から次に出てくるものではないかと思います。

これらのソフトを使って、風を自由自在に使って、ヨットを自由自在に操って、そのフィーリングを得ていく。このソフトは自分で育てていくしかない。それができるかどうかによって、全然違ってくるかと思います。

私の理想としては、微風から強風までをどう乗るかを決めて、固定する必要はありませんが、その中で、セールをいかに風に合わせていけるかを学び、どこまで迫れるかですね。それによって、どんなフィーリングが得られるか? 自由自在とはどんな感じなのか? ヨットとの一体感とはどんな感じになるのか? いろんな風、いろんな波もあります、これらは、簡単に全部が解るわけではない。だから、何年も何年もかかるでしょう。でも、確実に、自由自在感が高まっていく感じとか、一体感が解ってくるとか、セーリングに確実に迫っているとか、そういう事が徐々にでも自分で感じられるようになる事。それが面白いに違いないと思います。その中で、いろんな外部的ソフトも遊びながら、臨機応変に遊ぶ事がでれば良いと思います。

ゴールはあるようで無い。無いようである。プロセスの変化を面白さとして、どれだけ捉える事ができるかにかかっている。それは、きっと結果にこだわらないという事ではないかと思います。 

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