第三話 セーリングを遊ぶ

という事で、ヨットを見るに、まずは、セーリングを遊ぶにあたり、どういう風に操船できるかと考えます。舵やウィンチの配置を見て、セールを上げる処から、具体的な操作をどうするか? そこが主体的に考えられます。シングルでやるのか、ダブルなのかと考えます。それによって配置の考え方は違ってくる。

どんなヨットでもセーリングはできる。しかし、ヨットによって操作性は違うし、乗り手の数も関係するし、そしてセーリングも違ってくる。まずは、希望する乗り手の数を設定して、それに具体的にどうアプローチできるかを検討していく。その中で、オートパイロットの使用はできるだけ少なくした方が、セーリングを堪能するには良いと思います。

そこに、今度はヨットのセーリング性能というのが考慮されていきます。セールエリアと排水量の関係、バラスト重量、構造や工法による船体の硬さ等はどうか? そして、もちろん重要な要素のひとつですが、デザインが美しいか? 気に入るかです。

これらが揃うと、セーリングが楽しくなる。まずは、セーリングありき。でも、それらを満たして、他の要素であるキャビン、装備等を考えても遅くは無い。セーリングをもっと主体的、能動的、積極的に進め、いかにセーリングが面白くできるかをまず考える。

これが全ての方々に共通というわけではありませんが、クルージング主体の方には、レース主体の方には、違うアプローチの仕方があるとは思いますが、日本全体を考えれば、その軸にセーリング自体を楽しむという事を置く事は良い手法ではないかと思います。

それがピクニックや別荘的使用も面白くしていく効果があると思います。だから、ヨットのいろんな要素を、今まで以上に楽しむ事ができると思います。想像してみてください。ヨット操作に熟練している自分を。セーリング以外のピクニックにしたって、また、クルージングにしたって、はたまた、家族と泊まる時にでも、その感じは全然違うと思います。

ヨットを楽しむ秘訣は、何か一点にでも精通する事ではないかと思います。そこから波及効果が他に及ぶ。それはクルージングのノウハウでも良いし、レースのノウハウでも良い。しかし、私としては、どちらでも無いセーリングそのもののノウハウをお薦めしている次第です。何か一点にでも、精通していけば、そこに面白さが生まれ、波及効果も生まれる。その一点を誰もが持った方が良いと思います。目指す方向は違えども、目指す何かを持つ事が重要だろうし、それがヨットをトータル的に楽しむ秘訣ではなかろうか。目指した事以外はしないという事では無く、全体を楽しむ事ができる方法だろうと思います。

そういう事で、この一点を元に、長い間、同じ様な話を書いてきました。全ては、セーリングに習熟し、自由自在感を得て、セーリングに科学的アプローチを試み、感覚的フィーリングを得る為で、それを第一とする事。ヨットに対するひとつのアプローチの仕方です。これをお薦めしてきました。
便利な物を使うのは誰でもできる。でも、そこまでなら楽しさはあっても、面白さは無い。その先の求める何かが無いと面白さはわいてこない。求める行為は冒険とも言えます。冒険だからこそ面白さがある。だからこそ、10年も20年も続ける事ができる。 面白さが無いと、こんなに長く続ける事なんて無理ですね。楽しさだけでは、ほんのたまにしか使わない事になりかねません。

次へ       目次へ