第三十二話 欧米文化

デイセーラーは日本から生まれてほしかった。何故なら、個人プレーよりもチームプレーを得意とする日本人ですが、それは社会における行動であります。だからこそ、遊びというプライベートでは個人を尊重し、チームプレーの反動としてでも、自由を満喫する為にも、デイセーラーというアイデアが生まれてほしかった。デイセーラーはシングルハンド仕様だからです。

人が集まれば、チームワークを経験できますし、反面では面倒くさい人間関係のトラブルも起こります。それが無いのがシングルです。最も近い、夫婦間でも、親子間でも、トラブル時もある。
二人集まれば、何かがあるのは当然です。だから、自然と気を使います。使っていないようで、やっぱり気を使っている。

欧米のように、彼らも当然気は使うでしょうが、でも、日本人に比べると、もっとドライではないかと思います。結構、言いたい事をずけずけ言うし、それで、言われた方も別に気にしている風でも無い。だからこそ、何人か一緒でも、日本人程には気を使わないので、楽なのではないかと思います。子供が、隣の老人をつかまえて、ファーストネームで呼んで、まるで、対等な関係のような口ぶりで話す。

日本はそうは行きません。でも、それが日本人なのですし、悪い事ばかりでは無い。いわゆるドライに対してウェットとか言われます。だからこそ、そういう日本で、シングルハンドという乗り方が出てきても良かったのではないかと思います。

時にはひとりで、気の向くまま。そういう事を考えた人が少なかったのか、元々市場が小さいので、造船所がそういう冒険をできなかったのか? それがどういうわけか欧米で広がっている。欧米人の心理としてはどうなんでしょうね?

シングルも有りだろうが、誰かゲストをひとりかふたり程度載せて自由自在に走る。このあたりが思い浮かびます。そして、もちろん、ひとりでも遊べるし、ゲストがたくさん来たらうっとおしい事もある。いくらドライでも、

ある人は2シーターのスポーツカーを持っていた。一般のセダンは所有してい無い。だから、この車には運転手を含めて二人しか乗れない。だから、載せてくれとは言われない。そういう人も居たな。これはある日本人の話です。

本当の長距離を考え無いのであれば、デイセーラーというのは、非常に面白いヨットになると思います。ひとりになれる事、セーリングが感じられる事、ゲストは少数で、まさしくプライベートな感じ。
でかいキャビンをもてあますような感じは無いですね。欧米文化のキャビンは別荘感覚。それに対して、デイセーラーは軽いスポーツ感覚で、レーサーのようなハードスポーツを考えていない方に良いのかな?そういう欧米人の新しい文化の台頭をデイセーラーに見る事ができる。

本当に身近な家族や友人だけを想定したような、そんなプライベートなスポーツカーならぬ、デイセーラーなのであります。そして、そのスポーツヨットなら、セーリングをもっと気楽に楽しめるし、忙しい日本人にはピッタリなのではないかと思っているんですが?

早朝から夕方まで、一日中走り続けるには、それなりのエネルギーが必要です。でも、でっかいボリュームが、せっかく乗るなら長くという気にさせる。ちょいという気軽さが出てこない。それに比べて、デイセーラーのボリューム感は、ちょいとという気分にさせてくれる。

プライバシーと気軽さと、セールフィーリングを持つヨットなのです。大勢で乗るヨットでは無いな〜。だから、取得定員も皆さん少なめ。万一を考えても、これまで最高は6名だったかな。ある方は二人で良いという方もおられました。ツーシータースポーツカーと同じですね。

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