第三十六話 ヨット好き

いわゆるセーリング好きはヨット好きなんだろうと思います。それは前話で書きましたいろんなフィーリングとかもありますが、それ以外にも、ヨットのデザインの美しさとか、機能美とか、こだわりとか、そういうモノも持ち合わせています。

車好きは別にレースするわけでも無く、それで、旅に出るわけでも無く、ただ、車が好きで、走らせる感覚が好きで、それで、かっこ良さとか、エンジンが何で、タイヤが、サスペンションが、シートがとかいろいろこだわりをお持ちです。それが楽しい。

ヨット好きにも同じ事が言えます。ただ、ヨットに関しては、日本のマーケットがそこまでは成熟していないので、少ないかもしれませんが、でも、この車好きの感覚と同じではないかと思います。だから、成熟するに従って、ヨット好きが増えていくと思っています。

どういう姿で、どういう構造や工法で建造され、素材は何で、セールは何で、いろんな箇所に詳しくなって、こだわりをもつ。そして、それらが、セーリングにどんな影響を与えているか?そういう事も気なる。

ヨットを従来のように、レースかクルージングかに限定する必要は無く、新しいコンセプトとしての、ヨット好き、セーリング好きというのが増えていく。そのヨットで何故レースする必要があるのか、しても良いですが、何故、クルージングと考える必要があるか、しても良いですが、それら以外の、美しさやセールフィーリングにこだわっていくヨット好きが居ない方がおかしいと思います。

車好きの世界では、ベンツがあり、ポルシェがあり、フェラーリ、アストンマーチン、良くは知りませんが、いろんなスポーツカーがあります。デイセーラーは、いわゆるこれらの世界と同じかと思います。車好きは性能、美しさ、フィーリングにこだわる。シートに座った感覚でさえ、ああでもないこうでもないという世界なのです。エンジン音が良いとか、何とか。

もちろん、ヨットの世界はそこまでには至ってはいないかもしれない。今デイセーラーに乗られている方々はその走りかもしれない。今後、ヨット好きがもっと増えていくと思います。ヨットはもともと実用性という意味ではあまりないが、でも、レースとクルージングという事を実用性と考えるなら、それ以外の処で、マーケットが成熟するにつれ、ヨット好きが増えていく。それは何ができるからという実用性では無く、美しさと性能とフィーリング、車好きと同じであります。

実用性に劣るとしても、美しいヨットで格好良くセーリングを味わう。ドライブがスポーツであるように、セーリングもスポーツです。スポーツカーも同様に、実用性は兎も角、美しさと性能とドライブフィーリングを楽しむ。ヨット界も徐々にですが、そういう方々がやっと出てこられた。そういう感じがします。

実用性とは、用途における有用性です。キャビンが広いとか、エアコンとか、温水とかです。それらが有効である事は解っています。しかし、ヨット好きとしての魅力は、それら以外の処にあります。ヨットの魅力をどこに求めるかにおいて、価値観の多様化が見られます。それが成熟の証ではないかと思います。有用性だけがクローズアップされるうちは、まだまだかな?

次へ       目次へ