第三十九話 こだわり
| 自分の興味にこだわる。それは自分の価値観を尊重し、重視している事になります。自己満足と言われようが、何と言われようが、人に迷惑さえかけていない限り、自己が満足して良いに決まっている。まあ、誰も、何も言いませんが。 趣味にこだわると、その深さを知る事になります。他人には理解できない事もある。しかし、求めたくて仕方がない。そんな趣味をお持ちの方は幸福であります。逆に、何のこだわりの無い趣味は考えられない。それは、多分、趣味とは呼べないのかもしれません。 こだわりというのは、大抵は、そのヨットがどんな役に立つかには関係が無い。形であったり、フィーリングだったり、いわゆる自分の持つ美意識です。見ためだけでは無く、その乗り方にも現れる。ある方は、エンジン無しで、セールで出て行く事を考える。ある方は、わざとオーパイを使わ無いようにするとか、またある方はオーバーヒールさせてでも、そのヒール感が好きとか。 これらのこだわりは、理屈では無く、感性の問題です。もちろん、ちゃんとした理屈を踏まえてのうえで、その感じを楽しんでおられます。ヨットが好きで、セーリングが好きになると、当然出てくる事かと思いますし、理屈の中だけで楽しんでいるうちはまだまだなのかもしれません。 ヨットは普段の仕事や関連において、何ら関係が無い。極めてプライベートな遊びですから、どんな風に演っても良いし、それが許される。言い方を変えれば、極めて我侭ができる。そこも面白い処であります。 気がつけば、いつも気を使ってますから。また、そうしないと人間関係上手くいきませんし、それでも、どこかでトラブルが起きる。我侭できるというのは幸福な事。せめて、ヨットぐらいは我侭になりたい。 何人寝れるか、何人乗れるか、どれだけ快適かというのも、実に家族思い、仲間思いでありますが、どこかに自由を持っておくと良いんじゃなかろうかと思います。最高の我侭はシングルでしか行えない。だからこそ、シングルハンドは乗り方のひとつとして、絶対持っておいた方が良いと思います。 別に、そこに逃げるのでは無く、自分の価値観を我侭に、とことん追求できる。そんな世界は、殆どの人は持ち得ない。それができるというのは、このうえなく幸福だろうと思います。とことん求めたら、いろんな事が起こり、だから、流れとしての面白さを持つ。 趣味とはそういうものかな？ 流れの中で、快楽を味わったら嬉しい。しかし、それにこだわったら不幸です。その快楽は流れの中で消えていきます。しかし、面白さを味わったら、それは流れの中で継続していきます。こだわりは、その中で生まれます。そのこだわりは幸福だろうと思います。 |