第三十五話 モダン&クラシック

デイセーラーの基本デザインは共通している部分が多いです。狭めの幅と重いバラスト、硬い船体、それにシングルハンド操作を前提にしています。大きく違うと言えるのは、その見かけのデザインがモダン系かクラシック系かと言う事でしょう。

これは好みの問題でもあります。しかし、若干のパフォーマンスの違いもあります。モダン系では、その水線長がクラシック系よりも長い。クラシック系は前後にオーバーハングを設けます。それがクラシックらしく見せる要因でもあります。ただ、最近では、スターンのオーバーハングはありますが、バウ側のオーバーハングが無くなったクラシック系も出てきました。

水線長が長い方が、スピードは速くなる。クラシック系デザインは、重量やその他は最新にできても、このクラシックデザインにおいては、やはりオーバーハングがある事で水線長は短くなります。まあ、レーサーを造っているわけでは無いので、好みはあるでしょうが、クラシック系のデザインはそれで存在感もあるし、美しさもあります。クラシック系のデザインを好む方は世界中に多いですから。

一方で、よりハイパフォーマンスを狙うデイセーラーもあるわけで、そうなりますと、モダン系になります。前後のオーバーハングなんか殆どありません。そうすると必然的にモダン系に見えてきます。デッキ上もそのデザインにならってきます。

クラシック系には、チーク材がデッキ上に使われます。これもクラシック系の美しい演出になります。これにニス塗装なんかしますと、実に美しい。クラシックビューティーというわけです。一方、モダン系には、デッキ上に木材をあまり使わない。様相が全然違います。

ただ、モダン系にチークデッキを張る事は多いようです。木という素材は、何だか人間に安らぎと言いますか、落ち着きと言いますか、そういう影響を与えるのでしょうか、超モダン系デザインにチークデッキをはりますと、ちょっと落ち着いた雰囲気になります。ハイパフォーマンスを狙い、でも、チークデッキは重量を増すので重くなり、矛盾していると言えますが、そこはデイセーラーとして、何もレーサーを目指しているわけではありませんから。

反面、クラシック系は、チークを所々にあしらった物が多い。そこにチークデッキをはりますと、お好みではあるんですが、見た目がちょっとヘビーにならないか?そんな感じもしないではありません。デザイン的な雰囲気のレベルにも寄りますが。もちろん、各人の好みです。

クラシック系、モダン系、それぞれに美しさの様相は違いますが、どちらも良いですね。ただ、全体的に言いますと、モダン系の方がパフォーマンスをより高く狙っているかと思います。でも、クラシック系の前後のオーバーハングはそれなりに美しさがありますね。ヨットらしさも感じます。

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