第四十一話 リフティングキール

昔から固定キールが良いと思ってきました。キールを上下させるのは、どうかな? 年数が経つと、キールと船底部分が汚れた時なんか、スムースに上げ下げできるのかな?

でも、最近は少し考え方を変えてきています。ヨーロッパのデイセーラーで、油圧ボタン方式でキールを簡単にアップダウンできるヨットがあります。アップダウンするのは、欧米ではトレーラーでヨットを運んで行ける事が前提にあると思っていましたが、それにしては、マストがデッキスルーで簡単にどこでもマストを立てたり、倒したりができるようにはなっていない。トレーラーで運ぶなら、起倒式の方が良いと思います。

アップダウンできるという事は、ダウンした時にかなりキールを深くする事ができる。フランスのオプティオ9は30フィートです。油圧式のアップダウン方式を採用し、ダウンの時は吃水が2.2mにもなり、アップすれば、1.0mに過ぎません。

これは帆走性能向上を図り、尚且、吃水を場所によって浅くもできる。決して、トレーラーで運べるというのが目的では無いようです。マストはもちろん、デッキスルーなのですから。

  

オプティオ9の図です。この方式では、キールは折りたたむようになります。だから、キールアップした時、キャビン内には邪魔にならない。コクピットから、油圧ボタンで操作します。

そう言えば、イタリアのディナミカ940も標準はリフティングキールです。どうも、リフティングキールを見直した方が良いかもしれません。先入観というのは、やはりいけませんね。

ついでながら、この図のオプティオ9ですが、アンカーを図の様に、スウィング方式で展開する様にもできるし、トランサムを開閉式にもできる。それに、何と、このサイズでトイレが個室なのです。
このヨットは2013年デビューですから、後発ならではの工夫が見られます。

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