第七十二話 イメージ

デイセーラーにおける性能は重要なポイントです。しかし、その前に、デイセーラーというヨットのイメージがどんなものであるのか? そこかは入らねばならないのかもしれません。

私のイメージは、デイセーラーはスポーツカーというイメージです。いろんな車がある中で、デイセーラーが持つ要素は、スポーツカーが持つ要素と同じであります。スポーツカーを何かの役に立てようというより、ドライブをスポーツとしてフィーリングを楽しむのが主になると思います。

用途をドライビングに限定しているだけに、その充実を図られています。ボディー剛性とか、ブレーキング、サスペンション、いろいろですが、そのドライビング性能に寄与します。そして、最高スピードが云々とも言われますが、実際には、その最高スピードを達成するというより、全般的な走りのフィーリングを楽しむ事になると思います。そして、これらスポーツカーはレーシングカーとは違います。

デイセーラーはこのスポーツカーに対するイメージと全く同じです。より気持ちの良いセーリングを味わう為に、ボディー剛性を高め、重心を下げて、バラストを重くして、でも排水量は軽くする。全ては、セールフィーリングの為です。

スポーツカーは、車の初期段階からあった様で、初期では、レースも行われていました。それがやがては、レース用とスポーツ用に分離していった様です。ヨット界では、まだまだ、スポーツと言えばレースを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、これからは、車がそうであった様に、レースとスポーツは別と考える様になるかと思います。

レーサーはレーサーです。あくまでレースのルールに従って、順位を競います。しかし、スポーツとしてのヨットでは、レースルールは関係ありません。レーティングなんかはどうでも良い。ただ、我々アマチュアがセーリングをスポーツとして楽しむにあたって、より安全であり、より良いフィーリングを得られる事が重要です。それを求めたのが、今日のデイセーラーです。

スポーツカーは既にある一定の地位を確率してきました。しかし、デイセーラーはまだまだこれからではありますが、確実にそのシェアを伸ばしていくものと考えております。何故なら、ヨットは車以上に、遊びに使うものですから。スポーツカのシェアー以上になっても良いぐらいではないかとさえ思います。

その傾向は既に欧米では広がっています。確かに、レースなんかもしていますが、それ以上にセーリングを楽しんでいる。そういう方々が増えてきている。

スポーツカーがそうである様に、デイセーラーにも様々なモデルがあります。サイズの違い、性能の違い、デザインの違い、今日では、いろいろ選択の幅が広がってきています。実は、造船所の職人にとっても、造り甲斐のあるコンセプトだと思います。

スポーツカーの面白さを、デイセーラーに重ねてイメージされてはどうでしょうか? 少しは具体的にイメージできるかな〜と思うのですが。スピードを求めはしますが、スピード以外の、セーリングにおけるドライブ感を楽しむ。気軽で、容易で、シングルで、そして、ハイパフォーマンスで美しい。

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