第十七話 アビームとダウンウィンド
| 上りを散々堪能してきました。今度は、角度を少し落としていきます。この走りは、風向は無視した走りで、舵はひたすらある角度（コンパス）、向こうの山の頂上とか海岸の切れ目とか、ブイとか、ある何かの方向を維持してセーリングします。そこに全神経を集中して走ります。そして、その他のセーリングについては、適当でゆるゆるです。 上りの様に、角度を気にする必要は無く、目的方向にまっしぐら、風向が変われば、それに対してセールの角度を変えます。もちろん、風速が変われば、セール形状も調整します。しかし、舵はひたすら、目的方向に向かっています。それも、ふらふらしないように。これは前回の上りでもやりましたので、相当楽にできるようになっているはずです。 風にたいする角度を気にしないで良い走り、これに全神経を集中させて、これだけでも極めてやろうというつもりで走ります。これも短い時間ですから、例え、微風でも、意思の力で神経を集中させて、最高の緊張感を創り出します。 セールは外に出されます。角度稼ぎの上りでは無いが、少し落としたぐらいならジブは使える、もう少し落としたらどうか、もっと落としてアビームになったらどうか？ 或はもっと落としたら？今度は、セールをいかに整えるが重要になってきます。舵は目的方向に真っ直ぐです。風向が変わろうと何しようと真っ直ぐです。 ですから、セールの角度を調整する事になります。その探求です。そして、前回同様に、これ以外のセーリングはのんびり適当です。風向に対するセールの角度の調整、そして風速に対するセールの形状の調整。 これを散々味わって慣れてきたら、次は、ダウンウィンドです。できればジェネカーを使いたいと思います。強風だったら、ジブとメインだけでも良い。兎に角下りを堪能します。下りのセーリングには、直接目的地を狙う、アビームと同じ方法もできますし、上りの様に、角度を気にする両方のセーリングをする事ができますから、どちらかを選んで、それを意識して、下りのセーリングをします。しかし、ここではジャイブはありませんから、直接狙いを堪能します。 何かひとつのテーマを決めて、そこに全神経を集中させて、その走りを極める。まあ実際極める事は難しいですが、そのつもりで試行錯誤を繰り返す。そういうテーマを持って繰り返しやっていきますと、そのセーリングに習熟度が上がりますし、上がれば以前より楽にできるようになり、尚且、楽なのに、いろんな細かい変化まで感知できるようになります。 ひとつひとつを理解し、慣れてきたら、次のテーマはタックとジャイブです。最初の上りと同じように上ります。以前みたいに、そんなに意識的に神経を集中させなくても、自然に集中力が高まっていますし、慣れています。そこで、今度はタッキングをして、反対舷でも同じ上りをします。 まずはタッキングです。それをいかに無駄なく、スムースに行えるようにするか？ 舵を少しきって、セールに裏風が入ってきたら、一気にシートをリリースして、反対側のシートを引き込む。別に大急ぎでやらなければならないわけじゃない。レースしているわけではありませんから。でも、スムースに無駄なくやりたい。それはシートを引き込むタイミングと舵操作にあると思います。 ヨットが早いタイミングでタックして、セールが間に合わない時、後で、セールを引き込む為にウィンチを何回も回す事になります。それが上手く行く時は、ウィンチはちょいちょいで済みます。ですから、舵操作でそのタイミングをはからなければなりません。両者のコンビネーションが重要になると思います。それを何度も繰り返して、そのタイミングを知る。 タック後は、以前やりました上りを再びやります。タックして上る。これだけに集中して、他は適当です。 次は当然ジャイブです。下りは直接狙う事もできますが、効率が悪い事もあり、ジャイブしながら近づく方が良い。それで、ジェネカーとメインを使ったジャイブをします。メインは引き込み、ジャイブ次の衝撃を和らげる。ジャイブ後に出す。ジェネカーは、舵で角度を落として、再び上るタイミングが重要です。ジェネカーのクリューが、フォアステーを超えたら上りだす。その前に舵操作で上り始めると、ジェネカーが上手く反対舷に持ってくる事が困難になります。 さて、ジャイブにもうひとつ。ジェネカーのシートは外回しか内回しか？ できればバウポールを出して、内側にすれば、シートが海面に落ちる危険が無くなります。しかし、一方で、フォアステーとバウポール先端との間をセールが通過しなければなりません。狭い隙間かもしれません。外回しでは、空間は広いのですが、シートを海面に落としたら、トラブルになります。どちらにもメリット、デメリットがあります。バウポールの長さにも寄るとは思います。どちらかと言いますと、うち回しかな？慣れ次第ですが。 そして、ジャイブして下る。以前にやったセーリングです。ここだけに集中して、他は適当。いつものように。適当とは言っても、ここまでくれば、全体的なセーリングレベルが上がっていますから、適当にやっても、結構楽に良い走りができると思います。 最後は全部を交ぜて、いろんな走りをします。 |