第六十四話 イメージ
| 我々はあらゆる物事に対して何らかのイメージを持っています。その中には、そのイメージに対して何ら根拠が無い物もありますし、それどころか事実に反する事もあります。しかし、イメージというのは一旦定着しますと、強く影響したりします。新聞やテレビなんかでも、結構、イメージで語っている事が多く、それに乗せられている感も多々あると思います。 さて、デイセーラーのイメージはと言いますと、どうも一般的にはピクニックボートというイメージがあるようです。新しい事や物に遭遇すると、我々は既に知っている事に結びつける傾向にありますから、そういうイメージになってきたのかもしれません。そこで、そのイメージを覆す為に反論したいわけです。 今日のデイセーラーはセーリングを重視したヨットであり、そのもっと昔のデイセーラーとは全然違います。もちろん、ピクニックするのは何でも無いわけですが、それだけなら、何もそんなに排水量やハルの硬さとかにこだわる必要は無いわけです。しかも、できるだけ安価に造ればもっとたくさん売れるかもしれません。 しかし、今日のデイセーラーは、ハルの形状、造り、硬さ、排水量、安定性、セールプラン、バランス等々を考慮し、より操作性を高め、面白いセーリングを味わえる事にこだわっています。その性能、滑らかさ、スピード、安定性、シングルでの操作性等々を考えましたら、ピクニックボートにはおさまらない。もっと高い次元でのセーリングを目指しています。それが、私が言う処の、スポーツカー的なイメージです。 昔のデイセーラーは、言うならば、軽自動車みたいな感じで、今日のデイセーラーはスポーツカーです。全く走る事に対する取り組み方が違います。スポーツカーは、ボディ剛性を高め、重心を低くして、空力抵抗を考え、足回りやブレーキを強化し、エンジンを考慮しています。全てはドライブ感にあると思います。それを楽しむ人間の為にデザインされています。決してレースの為でもありません。ドライブ感だと思います。スピードもあるし、コーナリングもあります。 これと同じで、デイセーラーも同じ様な取り組みが行われています。ドライブ感に替えて、セーリング感です。その為に、排水量、ボディ剛性、キールやセールプランがデザインされます。これがピクニックには留まっていない理由の根拠です。つまり、安価には造れない理由もあります。これはスポーツカーも同じですね。 そういうヨットですから、もちろん、ピクニックしても、セーリングが違いますから、そのフィーリングも違ってきます。もちろん、真剣に走らせれば、その反応をもっと楽しむ事ができます。これからのイメージは、スポーツセーリング。 でも、またスポーツと言いますとすぐにレースをイメージする方がおられます。これもまた困ったもので、スポーツ イコール レースとはなりません。レースしないでも良い（しても良いですが）スポーツです。 そこで、スポーツセーリングとしてのイメージは、乗り手がヨットで出て、より良いセーリングをしたいと思った瞬間に、それはスポーツになると思います。動いているヨットから、如何に走らせるかを考えた時、それはスポーツです。例えば、ピクニックしていても、ちょっとした瞬間にセールトリミングをします。その瞬間はスポーツしているのだと思います。これが私のスポーツセーリングのイメージです。如何にベターな走りにするかと意識がセーリングに向かった瞬間に、スポーツセーリングが始まる。意識の問題です。どんな走りだろうが、気持ちがセーリングにある事こそがスポーツセーリングだと思います。 という事で、デイセーラーはセーリングをスポーツするヨット、スポーツヨットなのであります。ピクニックにおさまるレベルでは無いのです。でも、誰もが、セールさえ展開しているなら、瞬間的にでも、ちょいちょいとセール操作されます。結局はみんなスポーツしているのです。それをもっとと考えたのがデイセーラーなのです。 そうでなければ、セールが云々とか、第三のセールとか、そんな事考えません。という事でデイセーラーはスポーツヨットなのであります。 |